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広告に関する法律
2025.04.30
制作

こんにちは、クリエイティブ制作部です。
今回の制作ブログは広告に関する法律について紹介させていただきます。
近年、インターネットが普及し、ウェブやSNSなどを活用するなど広告の形態が多様化してきています。
誰もが簡単に広告を掲載できるようになった現在、不適切な広告を掲載してしまうと、広告の差し止めや消費者からの損害賠償を請求される可能性もあります。
安全な広告制作を行うためにも広告に関わる法律や権利について、最低限は知っておくことが必要です。
今回は代表的な3つの法律を紹介していきます。
①不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
景品表示法は、不当な顧客の誘引を防止して、一般消費者が合理的な判断に基づき商品やサービスを選ぶことができるよう、事業者が打ち出す広告の表示について一定の規制を設けています。消費者に誤認される不当な表示を禁止しており、優良誤認表示と有利誤認表示の2つを不当表示としています。規制に違反した場合、罰則を課される場合があります。 また、消費者庁長官は、優良誤認表示等に該当するかどうかを判断するために、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すデータの提出を事業者に求めることができます。(不実証広告規制)
不当景品類及び不当表示防止法 | |
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目的 | この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする |
優良誤認 | 商品やサービスの価格や販売条件などを、一般消費者に実際のもの又は競争業者に係るものよりも著しく優良であると誤認されるような表示を行うこと |
有利誤認 | 商品やサービスの価格や販売条件などを、一般消費者に実際のもの又は競争業者に係るものよりも著しく有利であると誤認されるような表示を行うこと |
上記の法律に加え、不動産公正取引協議会に加入している不動産事業者は、不動産広告を作成する際に注意すべきルールがあります。
不動産公正取引協議会とは、不動産広告の適正化を目的として、全国9ブロックで設立されている不動産会社の団体のことです。加入している不動産事業者は、公正競争規約(宅地建物取引業法)を遵守する義務があり、違反した場合にはその違反内容に応じて措置を受けることになります。
公正競争規約(宅地建物取引業法) | |
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目的 | この公正競争規約は、不動産の取引に附随して不当な景品類を提供する行為の制限を実施することにより、不動産業における不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保することを目的とする |
広告表⽰の開始時期の制限 | 事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない |
必要な表⽰事項 | 事業者は、規則で定める表示媒体を用いて物件の表示をするときは、規則で定める物件の種別ごとに、次に掲げる事項について、規則で定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない |
特定事項の明⽰義務 | 事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、賃貸住宅を除き、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない |
特定⽤語の使⽤基準 | ①使⽤する際の「意義」を定めている⽤語 ②使⽤する際には、その表⽰内容を裏付ける合理的根拠を保有、もしくは併せて表⽰しなければならない⽤語 |
広告表示の開始時期の制限
未完成の新築住宅や宅地を広告する際に、最初に確認するのがこの規制になります。
未完成の建物や、開発許可が必要な宅地は建築確認、開発許可を受ける前に「販売予定」等と称して広告を打ち出すことはできません。また、建築条件付土地に関する広告の表示を行う際に、新築住宅の広告であると誤認させるような表示は違反となる恐れがあるため注意が必要です。
必要な表示事項
必要な表示事項とは物件概要のことを表します。物件概要とは、広告主や物件の所在地、価格、交通など様々な規定がされていますが、定められている物件概要の項目について1つでも抜けている部分があれば違反になる可能性があります。また、物件概要について広告に表示する際には、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示する必要があります。原則として7ポイント以上の大きさの文字で表示することが定められています。
特定事項の明示義務
一般消費者が通常予期することができない物件の条件や土地の環境について明示する必要があります。特定事項は16個ありますが、例として、「30%以上の傾斜地を含む⼟地」や「都市計画道路等の区域内の⼟地」「沼沢地、湿原または泥炭地」などが挙げられます。
これらの事項について1つでも記載漏れがあると不当表示となる恐れがあります。
特定用語の表示基準
特定の用語の使用基準が定められています。
例として、①では「新築」は「建築後1年未満であって、居住の⽤に供されたことがないもの」と定められています。
②では「完全」「完ぺき」などが挙げられますが、広告表示に使用する際にはこの用語を裏付ける合理的な根拠が必要です。
特定用語の表示基準については動画広告のテロップにも適用されます。物件紹介の動画で、日当たり最高!や希少物件!などと紹介されていることがありますが、これらの表現を使用する際には合理的な根拠を保有しているか確認が必要です。
法律・規約違反の場合
法律や規約の内容を紹介しましたが、実際に違反した場合の罰則を簡単に紹介します。
景品表示法違反
最初に指導が入り、その後措置命令と課徴金が課されます。措置命令が行われた場合、企業名の公表が行われます。課徴金は不当表示をしていた期間における売上高の3%に相当する額を支払う必要があります。
宅建業法違反
最初に指示が入り、その後業務停止、免許取消が行われます。業務停止以上の処分の場合企業名の公表が行われます。
公正競争規約違反
最初に注意が入り、その後警告、厳重警告、厳重警告・違約金の順に処分されます。処分は、違反回数に応じて重くなっていくわけではなく、初めての違反であっても、その内容によっては厳重警告・違約⾦の処分となります。違約金は、初回は50万円以下、2回⽬以降は500万円以下となっています。違約金課徴を受けた場合には、主要なポータルサイトへの広告掲載が最低1か月間停止される施策を協議会と9つのポータルサイトとの間で実施しています。
【参照】
景品表示法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000134
景品表示法における違反事例集:https://www.caa.go.jp/policies/fair_labeling/guideline/pdf/160225premiums_1.pdf
公正競争規約の紹介:https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/
②不正競争防止法
不正競争防止法は、事業者間における公正な競争などを確保することを目的として、適正な事業活動を遵守させるためのルールを定めています。他社の商品やサービスを無断で使用したり、不正利用することは公正な競争とは言えません。
webサービス事業者はインターネットのドメイン登録についても注意が必要です。
不正競争防止法 | |
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目的 | この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする |
周知表示混同惹起行為 | 他人の商品・営業の表示(商品等表示)として需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用し、その他人の商品・営業と混同を生じさせる行為 |
著名表示冒用行為 | 他人の商品・営業の表示(商品等表示)として著名なものを、自己の商品・営業の表示として使用する行為 |
誤認惹起行為 | 商品・役務又はその広告等に、その原産地、品質・質、内容等について誤認させるような表示をする行為、又はその表示をした商品を譲渡等する行為 |
ドメイン名の不正取得等の行為 | 図利加害目的で、他人の商品・役務の表示(特定商品等表示)と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有、又はそのドメイン名を使用する行為 |
法律違反の場合
不正競争防止法に違反した場合の刑事罰を簡単に紹介します。
周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、誤認惹起行為などに違反した場合、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金を課される場合があります。
法人については、その業務に関して違反行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて法人にも処罰が科されるとする両罰規定が定められています。一部の違反については、3億円以下の罰金刑が法人に科される場合があります。
【参照】
不正競争防止法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405AC0000000047
改正不正競争防止法参考事例集:https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/03kaisei-2.pdf
③著作権法
著作権法は、著作物などに関する著作者等の権利を保護するための法律です。
他社の広告やwebサイトなどの画像や文章は著作物として著作権法で保護されている可能性があります。そのため、他社の著作物を使って自社の広告を作る場合には、著作者や著作権を持つ権利者との間で譲渡やライセンスについての契約を結ばなければなりません。
著作権には保護期間があり、「作品の公表後、著作者の死後70年以上経過」すると著作権が消失します。
著作権法 | |
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目的 | この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする |
著作物の例示 | ①小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 ②音楽の著作物 ③舞踊又は無言劇の著作物 ④絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 ⑤建築の著作物 ⑥地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 ⑦映画の著作物 ⑧写真の著作物 ⑨プログラムの著作物 |
法律違反の場合
著作権法に違反した場合の刑事罰について簡単に紹介します。
著作権を侵害した者は原則として10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処するとされています。法人については、その業務に関して侵害行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて、法人にも罰金刑(原則として3億円以下の罰金)が科されるとする両罰規定が定められています。
【参照】
著作権法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
まとめ
いかがでしたでしょうか。
広告の規制は、医療業界に関するものが多いイメージがあるため、自分の業界は関係ないと考えている方もいらっしゃるかと思います。しかし、今回紹介した法律以外にも業種ごとに設けられている規制も存在するため注意が必要です。
法律は、企業と消費者のお互いを守るために定められています。広告活動を行う際には、虚偽や誇大表現をせず、消費者が誤認しない表現を心がけましょう。