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冬の星

2019.12.20

日常

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こんにちは、マーケティング部の松本です。
最近はすっかりと冷え込みが厳しくなって、日が落ちるのも早くなってきました。
厚手のコートやマフラーを身に纏う人々の姿も見慣れて、
夜に外を歩いていると息も真っ白に染まり、ああ、冬が来たのだと実感する日々です。
さて、今日は冬の星について少しお話が出来ればと思います。

冬 星空

最近、空を見上げたのはいつですか?
以前秋の空についての記事でもご紹介しましたが、秋冬というのは春夏に比べて空がとても澄んで夜空の星もくっきりと輝いて見えます。
建物の多い場所では夜も明かりが多く、あまりはっきりとは見えないですが、それでも春夏と比べると一つ一つの星の輝きが強く感じられると思います。

冬の空には多くの星が見えますが、その中でも一際明るく輝いて見えるのはおおいぬ座の「シリウス」です。
シリウスは太陽を除けば地球上から見える星の中で最も明るい恒星です。地球との距離はおおよそ8.6光年と言われていて、他の星々と比べると近いのだとか。1光年が9兆5000万キロメートルであることを考えるととても近いとは思えませんが、他の星には600光年離れているものもあるので、比較的近い星であるとされているようです。宇宙は広いですね。
そのシリウスのそばに、これまた明るく輝く二つの星があります。こいぬ座の「プロキオン」とオリオン座の「ペテルギウス」です。シリウスとプロキオン、ペテルギウスを線で繋ぐと綺麗な三角形になることから、これを「冬の大三角」と呼び、冬の星空で星座を探す際にはこの冬の大三角を見付けて、そこからの方角で他の星座を見付けるのが楽だそうですよ。

冬のダイヤモンド

また、この冬の大三角の三つの星に、ふたご座の「ポルックス」、ぎょしゃ座の「カペラ」、おうし座の「アルデバラン」、オリオン座の「リゲル」を結ぶ線は「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。冬の大三角と冬のダイヤモンド、この二つの目印を覚えておけば、冬の星座の多くを見付ける事が出来ますので、是非探してみて下さい。

折角ですので、冬の星座を幾つか、まつわる物語と共にご紹介したいと思います。

ふたご座

ふたご座

まず一つ目にご紹介するのは、ふたご座です。
ふたご座は黄道十二星座のうちの一つで、名前のよく知られている星座です。黄道十二星座というのは、簡単に言ってしまうとよく星座占いなどで使われている、生年月日から導き出される星座のことです。あなたは何座ですか?なんて話をしたことのある方も多いのではないでしょうか。
ふたご座の学名はGemini。位置としては、先程ご紹介した冬の大三角の一角であるプロキオンを持つこいぬ座の上の方です。ふたつの明るい星が仲良く並んで輝いているので、比較的見付けやすい星座なのではないでしょうか。

ふたご座は最も古い星座のひとつでもあって、古代バビロニアの時代には「大きな双子」と呼ばれていました。日本でも頭上高く輝くふたつの星は夜空を見上げた際によく目に付いたのでしょう。兄弟星、双子星、めがね星、また金星・銀星などとも呼ばれています。また、毎年12月の半ば頃に出現する「ふたご座流星群」も、この星座の名をよく聞くきっかけの一つなのではないでしょうか。このふたご座流星群は、「しぶんぎ座流星群」や「ペルセウス座流星群」と並ぶ三大流星群のひとつとして人気があり、多いときには1時間で60個もの流星を見えることが出来るそうです。すごいですね。

ふたご座は古い星座であることから、ギリシア神話などにもその物語が伝えられています。
ギリシア神話によると、ふたご座のモデルになっているのは、「カストル」と「ポルックス」という双子の兄弟なのだそうです。この兄弟はギリシア神話の大神・ゼウスと、スパルタという国の美しい王妃・レダとの間に生まれ、カストルは普通の人間と同じ身体を持って生まれましたが、ポルックスは神の力を強く受け継ぎ不死身でした。そんな違いのある兄弟ではありましたが、二人はとても仲が良かったのだとか。
やがて兄弟は立派な戦士となり、戦場で共に多くの武功を立てていました。しかし、ある時カストルが戦いの中、命を落としてしまいます。ポルックスは不死身でしたが、大切な兄弟の死を嘆き悲しみ、父であるゼウスに「死ぬ時も兄弟と共にありたい」と願いました。その兄弟愛に感銘を受けたゼウスはポルックスの不死を解き、二人を天に上げ星座にしたと伝えられています。

ぎょしゃ座

ぎょしゃ座

二つ目にご紹介する星座は、ぎょしゃ座です。ぎょしゃは漢字で書くと「御者」であり、馬を扱ったり馬車に乗って馬を走らせる人、という意味ですね。ぎょしゃ座は一等星・カペラを持つ星座としてよく知られています。冬の夜、北の空に頭上高く輝いている星座で、カペラは最も北の空を通る一等星です。
ぎょしゃ座の学名はAuriga。位置としては、ペルセウス座の東にある五角形に並んだ星の並び、先ほどご紹介したふたご座の更に北側で、ふたご座とペルセウス座の間です。この五角形の星の並びは、ぎょしゃ座で最も明るく輝くカペラを見付ける事で簡単に見付け出す事が出来ます。

ぎょしゃ座の中で最も明るい恒星であるカペラは、全天に21しかない一等星の中でも6番目に明るい星なのだそうです。カペラ、という言葉は「牝の仔ヤギ」という意味なのですが、その為かぎょしゃ座の星座絵には仔ヤギを抱いた男性がよく描かれています。
地球からの距離はおよそ42光年。宇宙は広すぎて、一体どれほどの距離なのか具体的に想像することは難しいですね。ですが、ぎょしゃ座という星座は天の川の中にあるので、双眼鏡などで眺めるととても美しい光景が見える星座なのだとか。小型の望遠鏡でもその姿を楽しむことが出来るそうで、何処となく身近に感じてしまいます。

ぎょしゃ座もまた古い星座で、幾つかの神話や伝説が伝わっています。
ギリシア神話やローマ神話では、ぎょしゃ座のモデルになっているのは鍛冶屋の神・へーパイナスと美の女神・アフロディテの子どもである「エリクトニウス」であると言われています。エリクトニウスはアテネという国の王でしたが、生まれつき脚が不自由でした。しかし勇敢な性格で、戦場に行くときには馬の背中に身体を縛り付けて戦ったそうです。また才能に恵まれた人物でもあり、馬に引かせて戦う戦車を考案したのはエリクトニウスであったと言われています。その功績を讃えられ、死後に天に上げられぎょしゃ座となったのだとか。
また、モデルになったのは馬車の名手であったヒュッポリトスという人物であるとも言われています。ぎょしゃ座に限らず、一つの星座に沢山の物語や伝説がある場合も多く、それぞれに深い意味が込められていますので調べてみると楽しいかもしれませんね。

おひつじ座

おひつじ座

最後にご紹介する星座は、おひつじ座です。おひつじ座もふたご座と同じく黄道十二星座のひとつであり、その中でも最初の星座と言われています。名前のよく知られている星座なのですが、星空の中ではあまり目立たず、唯一の二等星である「ハマル」がおひつじ座の中では最も明るい星です。
おひつじ座の学名はAries。位置としては、冬の空に見るのであれば、おうし座の西側。おうし座の一等星・アルデバランは明るい星で、冬のダイヤモンドの一角でもあるので見付けやすいのではないでしょうか。

おひつじ座が黄道十二星座の最初の星座と言われる理由は、大昔、春分点と言われる点がおひつじ座にあったからだそうです。春分点というのは、黄道と天の赤道が交わる点のうち、黄道が南から北へと交わる方の昇交点のことです。私自身、首を傾げてしまったのですが、この点が赤経0時かつ黄経0度であり、この点を太陽が通過する瞬間が春分となるらしいです。成程、春の始まりを知るための点ということですね。調べてはみたのですが黄道と赤道の関係や昇交点について詳しく語るととても長くなってしまうので、興味を持たれた方は是非、調べてみてください。私たちの生きているこの地球という星と、過ぎ去って行く暦について知ることが出来て、とても楽しかったです。
さて、おひつじ座の話に戻ります。現在の春分点はうお座にありますが、2000年前にはおひつじ座にあったのだとか。春分点が時の経過で移動するのは地球の歳差運動の為ですが、現在でも春分点を表すにはおひつじ座の星座記号である「γ」が用いられています。

更に春分点は別名、「白羊宮の原点(the first point of Aries)」と呼ばれています。このAriesはおひつじ座のことではないのですが、ざっくり言うとこれもまた紀元前二世紀頃に春分点があったのがおひつじ座であったため、こういう名前になったそうです。

おひつじ座もまた古い星座ですので、ギリシア神話にもその物語が伝えられています。その物語によると、おひつじ座のモデルは金の毛を持つ、空飛ぶ牡羊だと言われています。
この牡羊は、テッサリアという国に生まれた「プリクソス」と「ヘレ」という双子の兄妹が継母・イノーの企みによって神への生贄に捧げられそうになった時に、二人を助け出した羊なのだとか。妹のヘレは途中で海に落ちて亡くなってしまうのですが、逃げ延びたプリクソスは羊が亡くなった後にその毛皮をコルキスという国の王に贈り、国の宝にしました。
この羊が二人を救い出した功績を讃えられ、天に上げられておひつじ座になったのだそうです。

まとめ

このように、冬に限らず空には多くの星々が輝き、その輝きに魅せられた私たち人間は遥か昔から星々に願いや祈り、思いを込めて物語を紡いで来ました。その物語は膨大ではありますが、その一端を知るだけでも、普段何気なく見上げて眺めている星空に、感慨深さのようなものを抱く事が出来るのではないでしょうか。
とは言っても、星座や星に関する知識は子どもの頃に学校や図鑑で学んだだけだから詳しくないし分からない、見付けるのも中々難しい、という方も多いかと思います。
そんな方でも星空をより楽しむ術として、実は今スマートフォンのアプリで、空にスマートフォンをかざすだけで空の様子を観測し、星座や惑星、衛星の解説を表示してくれるものがあるそうです。ご存知でしたか?私はこの記事の為に調べるまで知らず、とても驚きました。

冬 星空

澄んだ空を見上げれば、そこには無数の星々が瞬いています。美しく輝いているあの星は、もう遥か昔に爆発して消えてしまっているのかもしれません。私たちが目にしている星の光は長い長い時間を掛けて届いている、過去の輝きです。しかしその輝きは、遥か昔から私たち人間と、この地球という星を見守ってくれているようにも思えます。
寒くてつい夜空の下では足を早めてしまいがちな冬ですが、時には空を見上げて、過去の光や物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

今後とも、MEプロモーションをよろしくお願いいたします。