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坂道探訪

2021.05.20

日常
坂道探訪

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こんにちは。制作部の中山です。
先月末、会社の健康診断に行ってまいりました。おかげさまで日々元気に過ごしていますが、健康診断の季節になると、なんだか通信簿を受け取る子供のような気持ちになります。
内勤だと出社でもテレワークでもほぼ一日座って仕事をするので、日頃からどうしても運動不足になりがちです。輪にかけて昨年からのコロナの流行で、休みも自宅で過ごす機会が増えたので、運動不足に拍車がかかる一方です。
これはまずいなあ…と、ささやかな抵抗として毎日仕事終わりに小一時間自宅周辺の散歩をしていましたが、毎日同じようなルートを歩くのにも飽きてきたので、最近はじめたのが坂道探訪です。結局散歩には変わりがないのですが、目的を決めて歩くと達成感もあり飽きもこないので良い感じです。

なぜ坂道を選んだのか

今回目的を決めるにあたり、なぜ坂道を選んだかというと、4つの理由があります。

【理由1】坂道が好き

まず1つ目は純粋に坂道が好きだからです。類は友を呼ぶといいますが、わたしの周りには収集癖といいますか、なにかをコンプリートするのが好きな人が多く集まる傾向があります。学生時代の友人もその一人で、坂の多い長崎出身の彼女は猛烈な坂好きでした。その彼女と都内23区の名のつく坂を巡っていくうちに、わたしも坂道の魅力にすっかり取り憑かれていました。もちろん人工的に作られた坂もありますが、名のつく坂には大抵歴史があり、その地域の暮らしに溶け込んでいるところに魅力があります。

【理由2】密を避けられること

2つ目の理由は、コロナ下という今の時代にあっていることです。坂道は観光地ではないので、いつ行っても混んでいることがなく密を避けられます。また当たり前ながら予約も不要。そこでなにかをするわけではないので、さーっと通り過ぎるだけで周りに迷惑をかけることもありません。

【理由3】運動不足に効果的

3つ目の理由は、傾斜を登ることは運動不足に非常に効果的だと感じることです。平日の仕事終わりに家事をしてから散歩するには、当然時間が限られます。平日は近場の坂道を目的にその場所まで行き、多少の文句を言いながら坂道を登ると、平坦な道を歩くよりも身体に負荷がかかっている感じがして、短時間でも充実感を得ることができます。

【理由4】経済的

4つ目の理由はお金が一切かからないことです。本格的にジムに行って鍛えている方を尊敬しつつも、わたしの目的はあくまで運動不足の解消(ジムに通う根性が無いのが情けない)です。お金をかけずに少しでも身体を動かした気分を味わえる坂道は非常にありがたい存在です。また都内にはたくさんの坂道があるので、平日は近場、休日は少し遠くの坂道まで足を延ばしてみようと…自分の都合やコンディションで好きな場所を選べるところも私にはあっています。

好きな坂道

それでは、最近わたしが散歩に出かけた坂道をいくつか紹介したいと思います。

1.かむろ坂(禿坂)

まずは、かむろ坂(禿坂)。かむろ坂は、山手通りのかむろ坂下交差点を坂下として西へ上り、東急目黒線武蔵小山方面へと抜ける全長約480メートルの坂道です。
坂の両端には桜が植えられていて、春になると桜のトンネルが楽しめます。個人的には夏の新緑の時期も緑が鮮やかで大好きです。
東急目黒線の不動前駅が最寄り駅ですが、武蔵小山駅や中目黒駅、JRの目黒駅や五反田駅からも程よい距離感なので、少し離れた駅から散歩がてら歩くのもオススメです。

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場所 西五反田4丁目25番、小山台1丁目32番~西五反田4丁目3番、31番
名称の由来 今から三百年ほど前,数々の悪事を重ねた鳥取の武士,平井権八郎直定(歌舞伎では白井権八)が鈴ヶ森で処刑され,目黒の冷心寺の僧に引き取られて葬られました。権八と相愛であった吉原の三浦屋のおいらん「小紫」は,それを知ると目黒へ急ぎ権八の墓前で自害しました。小紫の帰りを心配した三浦屋の主人は,小紫の可愛がっていた半玉(おいらんの下で働く少女は,おかっぱのような髪形をしていたところから「かむろ」とよばれていました)を迎えに出しました。「かむろ」は,冷心寺で小紫の死を知ることとなります。泣きながらの帰途,桐ヶ谷近くにさしかかったとき,突然暴徒に襲われ逃げきれず,目の前にあった「二ツ池」に飛び込み死んでしまいました。この様子を見ていた村人は,「かむろ」を哀れに思い丘の中腹に葬り,「かむろ塚」と呼んでいましたが,その後,丘を「かむろ山」池を「かむろが池」と呼ぶようになったということです。都市化とともに付近の様子も変わり,残されたこの坂道が「かむろ坂」と呼び残されています。

※近隣のかむろ坂公園の「かむろ坂の由来」の石碑より
最寄り駅 東急目黒線 不動前駅
坂の概要 延長:約480m

【出典】品川区役所┃品川区の坂┃かむろ坂
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kankyo/kankyo-doro/kankyo-doro-saka/kankyo-doro-saka-kamuro/index.html

2.紅梅坂

次におすすめしたいのは御茶ノ水駅からほど近い紅梅坂。本郷通りから、ニコライ堂の北側を西に御茶ノ水中通りへ上る坂です。
もともとはこの後に紹介する「幽霊坂」とつながっていたそうですが、昭和の始めに「本郷通り」が開通したことで途中で分断され、当時の町名である紅梅町の名前から紅梅坂と呼ばれるようになりました。坂としては緩やかで距離としても短いですが、紅梅坂の周辺からはニコライ堂がとても綺麗に見え、晴れた日にはまるで絵画を見ているようです。

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場所 千代田区神田駿河台4丁目
名称の由来 紅梅坂 こうばいざか この坂を紅梅坂といいます。このあたりは紅梅町とよんでいたのでこの名がつきました。淡路町とつながっていましたが,大正十三年(1914)の区画整理の際,本郷通りができたため2つに分かれた形になりました。
昭和五十年三月 千代田区
※千代田区が設置している標識より
最寄り駅 JR中央線・総武線 御茶ノ水駅
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅
坂の概要 延長:約50m

3.幽霊坂、新坂、観音坂

続いては、幽霊坂、観音坂、新坂です。なぜ3つまとめて紹介するかというと、この3つの坂は筋違いで平行するように並んでいるからです。2でご紹介した紅梅坂でニコライ堂を眺め、そのまま幽霊坂、新坂、観音坂を巡りるのがオススメのコースです。どの坂も都会の真ん中にあるのに、休日は人通りも少なく、ゆったりとした静かな時間が流れているので、なんだかほっとします。ちなみにもしもお昼ご飯や夜ご飯がまだの場合は、小川町方面にそのまま15分ほど歩くと、以前宮嶋さんがブログで紹介してくれている「塩生姜らー麺専門店 MANNISH」まで行けるのでオススメです。

ご飯よりもまだまだ歩きたい時は、JR中央線沿いを西に上る淡路坂も同じく近場なので、淡路坂から駅に向かうのも良いと思います。ただ淡路坂は少し急坂なので、時間と体力に余裕がある時にぜひ。

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場所 【幽霊坂】千代田区神田駿河台4丁目から神田淡路町2丁目
【新坂】千代田区神田淡路町2丁目
【観音坂】千代田区神田淡路町1丁目と2丁目の間
名称の由来 【幽霊坂】
幽霊坂 ゆうれいざか この坂を幽霊坂といいます。もとは紅梅坂と続いていましたが,大正十三年(1924)の区画整理の際,本郷通りができたため二つに分かれた形となりました。『東京名所図会』には,“紅梅坂は 往時樹木鬱蒼にして,昼尚凄寂たりしを以って俗に幽霊坂と唱えたりを,今は改めて紅梅坂と称す”とかかれています。また古くは光感寺坂とも埃坂などとも呼ばれていたこともあるようですが,一般には幽霊坂の名でとおっています。
※千代田区が設置している標識より

【新坂】
新坂 しんざか 
この坂を新坂といいます。『東京名所絵図』には“新坂は維新の後,新たに開かれたる道路なり。昔は観音坂と紅梅坂の間,阿部主計頭(かずえのかみ)の屋敷にして,此処より駿河台に登る道路なかりし,崖の上には今も旧形を存せる後の外囲ありしなり,此の練塀を道幅だけ取毀ちて通路を開きたり。故に俗呼んで坂えおいえり”とかかれています。維新の後とのみかかれその年月は不明です。
※千代田区が設置している標識より

【観音坂】
観音坂 かんのんざか
この坂を観音坂といいます。『東京名所図会』には”新編江戸志に、観音坂」は埃坂(ごみざか)の並び、むかし、茅浦(かやうら)観音寺やしきありし故に名づくなりと見ゆ。此の坂の上観音院という称する仏刹ありしことは寛永の古図を見ても知らるべし、新編江戸志に観音寺とあるは観音院の誤りなるべし”とかかれています。しかし、延宝(1673~80)、元禄(1688)の古図には、このあたりに「芦浦観音寺」が見え、名の起こりは観音寺または観音院によるといえます。
※上記、千代田区が設置している標識より
最寄り駅 JR中央線・総武線 御茶ノ水駅
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅
坂の概要 【幽霊坂】延長:約190m
【新坂】延長:約40m
【観音坂】延長:約45m

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した坂道は東京23区の中でもほんの一握り。23区内には名前のつく坂が800ヶ所以上あると言われています。(地名のみで標識の無い坂も含む)それくらい東京は坂の多い街です。
未だ自粛が続く日々で、どうしても運動不足になりがちですが、こんな時こそ身近にあるものに目を向け、密を避けながら目的をもって散歩をしてみるのも楽しいと思います。
新年度がはじまり、あっという間に一ヶ月が経とうとしていますが、今期も健康に気をつけながら仕事はもちろん、プライベートも前向きに過ごしていきたいなあと思います。