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日常2021.11.26

物悲しさを孕む、福井の17m級大仏

皆さん、こんにちは制作部の瀧来です。
先日ある大仏を見に行くため、福井まではるばる車を走らせてきました。福井県には曹洞宗の大本山である永平寺があり、永平寺周辺は門前町としての歴史も色濃く残る地域です。永平寺にも足を運びましたが、そちらは他の方のレビューや情報が揃っていますので割愛させていただきます。

今回ご紹介するのは、一代で財を成した個人によって建立された17mの越前大仏を擁する寺院です。非常に興味深く、かつ物悲しい雰囲気を醸し出していた清大寺を本日はご紹介いたします。

大師山 清大寺 越前大仏

清大寺

まずは、清大寺についてご紹介いたします。清大寺は福井県勝山市に位置し、現在は臨済宗妙心寺派の寺院です。地元出身の実業家で、タクシー会社創業者の多田清氏の手により380億円の総工費をかけて、1987年5月28日に建立されています。2017年に開眼30年を迎えたばかりです。かの有名な東大寺や同県にある永平寺と比べるとはるかに歴史が浅いことがわかります。

門前町にはシャッターがおろされ、営業中の店は2軒ほどでした。閑散とした参道は物悲しい雰囲気を醸し出しています。

本来の門前町は寺院が出来てから徐々に店が立ち並び始め、やがて町としての様相を呈します。しかし、これらの門前町もすべて多田氏の費用で建てられており、全ての建物が同じ作りです。
同じであるせいなのか、余計にこのシャッター街はただならぬ雰囲気を感じます。

越前大仏

大仏殿にある越前大仏の像高は17mあり、これは東大寺の大仏より2m余りも大きい大仏です。中国の龍門石窟にある龍門奉先寺坐像がモデルで設計されています。

多田氏が一代で財を築きこの寺を建立したことから、出世大仏とも呼ばれています。

越前大仏は毘虜舎那如来であり、サンスクリット語で太陽を意味し、東大寺の大仏と同じ種類の大仏といえます。仏教には、教えを広める応人仏と、教えそのものを人格化した法身仏の2つが信じられています。越前大仏は法身仏で、永遠不滅の宇宙の真理を表しているとされます。

大仏の左右には脇侍仏として、右側に阿南羅漢と普賢菩薩の二仏が、左側には迦葉羅漢と文殊菩薩が並びます。4仏とも11mほどの高さがあります。

歴史

大師山清大寺は、当初観光目的で建立されたものでした。広大な敷地の固定資産税を勝山市へ寄付したいとの建立者の多田氏の思いの下、当初は宗教法人にされませんでした。
しかし、参拝者の減少から2002年に臨済宗妙心寺派の寺院となり宗教法人となります。拝観料は当初、大人は3000円であり、その後2500円、1000円を経て、現在は500円にまで下がっています。
一個人でこれほどの大仏及び、建造物を建立できるのは、ひとえに1991年のバブル崩壊までの日本経済の発展が影響しているのではないでしょうか。

見どころ

大仏殿

大仏殿は、開口58メートル、奥行き48メートル、高さ52メートルの鉄筋コンクリート造りです。大きさでは東大寺大仏殿を上回ります。銅板で萱葺いた屋根と勾配など、随所に豪雪を考慮した設計がなされています。

また、窓を増やして自然光が入るような工夫もされています。木造建築の風格を持ちつつも、現代建築の安全性と剛性を併せ持つ大仏殿です。屋根には巨大な一対の鴟尾が大自然を背景に金色に輝いています。

大仏をとりまく1281体の仏像

大仏殿には、越前大仏を取り囲むように1281体の仏像が天井いっぱいまで、壁一面に置かれています。大仏の裏側にも同じように壁一面に置かれており、裏側は光量が抑えられ、より幻想的な雰囲気を醸し出しています。
本殿に足を踏み入れると異界のような感覚を覚えます。まるでゲームのラスボスステージのようにも感じます。大仏の荘厳さと、仏像の視線を感じ、なぜか不安さえ覚えます。
また本殿には、お経が録音で流されており、その無機質さにもまた違和感を感じます。

おもう壺

大仏殿の中には「おもう壺」というものがあります。これは、誰でも心に持つという三毒をお札に書き、手で握りつぶし壺に投げ込むのです。このお札をお焚き上げしてくれるので、心が浄化され楽になるというものでした。もちろん僕も握りつぶして思い切り投げ込みました。不満を実際に書き出すという行為が新鮮で投げ込むことでその場でもスカッとします。
ぜひやってみてください!

三毒 貪欲(よくぼう、むさぼり)
瞋恚(いかり、うらみ)
愚痴(まよい、おろかさ)

日本一の高さを誇る五重塔

大仏殿の北側には日本一の高さを誇る五重塔があります。五重塔だけで総工費は216億6千万円、とんでもない額です…。
高さは75メートルで、京都市の東寺(55メートル)を抜いて日本一の高さです。各階には石仏や金仏が、最上階には阿弥陀如来・釈迦如来・薬師如来が安置されています。塔内はエレベーターと階段で自由に昇降できます。

個人的にはエレベーターがあると、趣がないなと感じてしまいますがとても便利です。

最上階からは勝山市が一望でき、同じく多田氏が建てた勝山城を望むことができます。

九龍壁(レプリカ)

九龍壁の本物は中国・北京市の北海公園の湖畔にあり、中国の国宝第一号に指定された由緒ある装飾壁です。それを中国政府の許可の下に再現したものが、境内にある九龍壁です。七色の瑠璃瓦で作られ、両面には古代より帝王の象徴とされてきた九頭の龍が、宝玉と戯れています。この九龍壁は越前の中を流れる九頭龍川にちなんでここに設置されたのです。
日本の一個人が中国政府に許可をとり、かつ国宝を再現してしまうとは何とも信じがたい事実です。現在ではきっと絶対に許可が下りないのではと思ってしまいます。レプリカではありますが、中国の歴史装飾の美しさを感じるには十分と言えるのではないでしょうか。

日本庭園

五重塔の西側には大きな池を中心に回遊式の日本庭園があります。池には背後の大師山の澄んだ水が絶え間なく流れています。池の中央、周囲には九頭竜川上流から採石された美しい巨石が配置されています。様々な木々が植えられ、四季折々の景色が広がっています。

駐車場

清大寺の駐車場は400台が収容可能です。建立当時の人気がわかります。そんな駐車場にも整然と20体の仏像が並べられています。なんと最前列に止めると真正面に仏像が来るので、じっと見つめられているような感覚になります。別に悪いことはしていないのですが、どこか居心地は良くありません。清大寺を訪れて最初に目にするこの駐車場から、かなり特異な雰囲気を感じます。

最後に

いかがでしたでしょうか。この清大寺は個人の力で建立された、とても珍しい寺院です。宗教法人化する数年前には40億円程の税金の滞納により、五重塔及び敷地などがが競売にかけられています。

なぜこれほど人気が出ないのか全くわかりません。日本一の五重塔があり、1281体の小仏像が取り囲む東大寺より大きい大仏があります。とても興味深いです。歴史が浅いかことも考えられますが、有名な牛久大仏は1995年ですから、もっと歴史は浅いので理由にはなり得ません。本当になぜ人気が出ないのかがわからない、とても興味深いスポットです。

これは友人と「まさか、そんなこと無いよな…」と話していた妄想の一説をご紹介させていただきます。
寺院を作るのには様々な理由が考えられます。もともとは観光目的で作られたことは確かではありますが、観光目的であれば寺院でなくても良いはずです。多田氏が実業家、創業者という立場上なにかがあったことは考えられます。ソースは不明ですが晩年、多田氏は「今の自分があるのは世間の人びとに迷惑をかけ借金をしてきたから」と述べています。鬼と化した菅原道真を祀ったように、過去に起こした何かへの贖罪として建立されたのかな…?という妄想を一瞬抱いてしまいました…。それであれば人気が出ない理由もネガティブな、なにかしらの気が働いているのではないか。
完全に邪推になってしまいましたが、それだけもっと人気が出てもいいはずなのに…なぜ…!と思っています。由緒ある美しい寺院を訪れるのもちろん良い体験ではありますが、訪れる人に様々な思いを馳せさせ、かつ色んな感情を抱かせる、清大寺も強くお勧めいたします。

緊急事態宣言も開けましたので、ぜひ感染症対策をしながら足を運んでみてくさい。
最後までお読みいただきありがとうございました。

画像出典:http://etizendaibutsu.com/index.html

アクセス
名称 大師山清大寺
住所 福井県勝山市片瀬50字1-1
開館時間 8:00~17:00(冬季は16:00まで)
休館日 無休(冬季臨時休業有)
拝観料 大人 500円 小中高 300円
交通アクセス えちぜん鉄道勝山駅から車で約10分
中部縦貫自動車道 勝山ICから車で約10分
えちぜん鉄道勝山駅からコミュニティバスで約20分 越前大仏前下車
無料駐車場あり 400台収容
WEBサイト http://etizendaibutsu.com/index.html