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応急手当

2019.12.05

社内
防災

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こんにちは。

もう12月もなかば、2019年もあと少しですね。
防災マニュアルシリーズの第4回のテーマは、「応急手当」についてです。

災害時には自分自身が怪我をすることも、怪我をした人の救護にまわる可能性も大いにあります。その際に慌てずに応急手当を行い、適切な処置を施すことは、自分自身の命はもちろん大切な人の命を救うことにも繋がります。
東京都内の場合に関していえば、救急車が出動してから現場に到着するまでにかかる時間は、平均で7分02秒(平成30年データ)だそうです。
その間、適切な処置が出来ていたかによって傷病者の後の人生を大きく左右することになります。
実際に心臓や呼吸が止まった人の場合、命が助かる可能性は約10分間を過ぎると急激に低くなっていきます。そのことからも傷病者を救命するためには、そばにいる人による応急手当が不可欠といえますよね。
また仮に命は助かったとしても、応急手当を怠ってしまったがために、後遺症が残ってしまう場合も考えられます。
そのようなことを防ぐために、応急手当の中でも日常で起こる可能性の高い「出血」「やけど」「心肺停止」「骨折」の場合に分けて、処置方法をまとめました。

出血

体内の血液の20%を失うと重篤状態、30%以上を失うと生命に危険を及ぼすと言われています。そのため救急隊が到着するまでに、いかに多量の出血を防ぎ、迅速な対応を行えるかが重要になってきます。

出血の際の応急手当は大きく分けて①直接圧迫止血法、②関節圧迫法止血法、③止血帯止血法の3つです。

①直接圧迫止血法

出血部位を直接清潔なガーゼやハンカチで抑える方法です。出血量が多いときは両手で強く圧迫します。この方法は誰でも大きなリスクを伴うことなく行えるため、最も推奨されている方法です。
その他の止血法では専門の知識や経験が求められるため、熟練の方や緊急時のみの使用に留めましょう。
※感染防止のため、手袋等で自分の手は覆います。

②間接圧迫止血法

出血している部位より心臓側に近い部位の止血点を圧迫し、血液の流れを手前で遮断する方法です。直接圧迫止血法をすぐに行えない際に、応急的に行います。

③止血帯止血法

出血が多量で直接圧迫止血法では止血が困難な時に行う方法です。
出血している腕または足に対して帯状のもの(止血帯)を使用して止血します。
この方法は神経を痛める可能性がありますので、ある程度経験がある方や事前に講習を受けておくことが必要です。

出血量が多いほど、また出血が激しいほど止血の手当を急ぐ必要があります。
出血の量やその時の状況に応じて、適切な止血法を選択しましょう。

やけど

やけどの重症度はやけどをした部分の広さと深さによります。たとえ火傷の範囲が狭かったとしても、熱傷が深部まで到達していたり、壊死した組織が感染している場合には死に至る場合もあります。

また、基本じわじわと痛みを増していきますが、熱傷が深くまで到達していると逆に痛みが全くない場合もあります。痛みがないからといって放置しないように注意しましょう。

①まず冷やす

まずはすぐに冷やすことが重要です。水道水でも構わないので、15~30分ほど冷やします。それにより症状の進行を抑え、痛みを和らげることができます。
※流水の刺激が強い場合は、水道水を流したまま洗面器等に水を貯めて患部をつけます。 また、衣類を無理に脱がそうとすると、皮膚も一緒に剥がれてしまう恐れがあるため、衣服の上から冷やします。

②患部をガーゼやシーツなどで優しく包む

充分に冷やしたら、患部をガーゼやシーツなどで優しく包んだり、毛布で体全体を包みます。その後の治療に影響が出るため、自分の判断で塗り薬などをつけないように気をつけましょう。

やけどの初期であればあるほど治療の重要性は高く、早期の病院受診が推奨されています。病院に搬送するまで、傷害の拡大を最小限に抑えることが大切です。

心肺停止

心肺停止は生命に直結するため、治療は一刻を争います。
実際心肺停止傷病者に関していえば、応急手当の有無で1ヶ月後の生存率が3倍以上も異なるそうです。そのため適切な判断と速やかな処置が必要となってきます。

心肺停止時の一連の流れ

①周囲の安全を確認してから傷病者に近づき、肩を叩きながら声をかけます。

②反応がない(又は判断がつかない)場合は、大声で応援を呼び、119番通報およびAEDを現場に届けてもらうよう協力を求めます。

③胸とお腹の動きを見て「普段どおりの呼吸」をしているか10秒以内で確認し、呼吸をしていない(又は判断つかない)場合は、ただちに胸骨圧迫を30回行います。

④訓練を積んでいる場合は、胸骨圧迫の後、人工呼吸を2回行います(人工呼吸を行うことができなければ省略可)

⑤③と④を交互に続けます。

⑥AEDが到着したらまず電源を入れ、電極パッドを書かれているとおりに胸に貼ります(体が汗などで濡れている場合は拭いてからしっかりと貼ります。)

⑦AEDが電気ショックの必要性がありと判断し、「放電してください」などのメッセージが流れたら放電ボタンを押します。このとき、必ず自分と周りの人は傷病者から離れ、触れないようにしましょう。

【出典】
"ダウンロードコーナー 成人版副読本『命を守る 心肺蘇生・AED』". 日本AED財団.
https://aed-zaidan.jp/user/media/aed-zaidan/files/download/poster28-3.pdf, (参照日 2019-12-5に利用)

AED

AEDの使用法など、知識だけでは理解できない点もあると思いますので、一度は講習会等で学ぶ機会をつくると良いでしょう。
また映像で心肺停止の場合の処置方法を確認すると、より理解が深まるはずです。

【出典】
"ダウンロードコーナー 成人版副読本『命を守る 心肺蘇生・AED』". 日本AED財団.
https://aed-zaidan.jp/user/media/aed-zaidan/files/download/poster28-3.pdf, (参照日 2019-12-5に利用)

【出典】
"一般市民向け 応急手当WEB講習". 総務省消防庁.
https://www.fdma.go.jp/relocation-kyukyukikaku/oukyu/pages-itiren/itiren.html, (参照日 2019-12-5に利用)

骨折

骨折には手の骨のヒビなど軽いものから、骨盤の骨折など生命を脅かすほどのものもあります。骨折の状況に応じて適切な対応が求められます。

①非開放性骨折

骨は見えないが、患部の変形や腫れ、極度な痛みが見られる状態のことを指します。

1.全身及び患部を安静にします。

2.その後患部をそのままの位置で固定します。

3.固定後は、傷病者の最も楽な体位にします。腫れを防ぐために、できれば患部を高くします。

4.全身を毛布などで包み、保温します。

②開放性骨折

開放性骨折とは、折れた骨が皮膚を破り外にでている状態のことを指します。 治療法は非開放性骨折とほぼ同じですが、骨が出ているため神経や血管を傷つけてしまう恐れがあり、また感染のリスクも高くなっています。
そのため無理に元の状態に戻そうとせず、そのままの位置で固定し、木の板、ダンボールなどの副木を添え、全身を布でつつみ保護します。また患部を締め付けそうな場合は衣類を脱がせるか破きます。

特に開放骨折の場合、感染のリスクがあるため、骨折をしてから6時間が手術のタイムリミットと言われています。
それ以上の時間が経つと、大きな後遺症が残ったり切断が必要になったりしてしまう可能性もあります。そのため応急手当後、一刻も早く病院に運ぶことが求められます。

まとめ

このように応急手当の知識と技術、互いに助け合う気持ちを持つことが、本当は助かったかもしれない命、重症にならずに済んだ心身の傷害を、未然に救うことに繋がります。
もしそれが大切な人であったのなら、なおさらですよね。東京消防庁のHPにも応急手当の重要性が記載されています。

他人事とは思わず、災害時に一人一人が適切に対応できるように、弊社でも備えていきたいと思っています。