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災害時の情報収集

2019.12.12

社内
防災

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こんにちは。
防災マニュアルシリーズの第5回のテーマは、「災害時の情報収集」についてです。

災害に巻き込まれた時、私たちは自分がそれまで経験したことのないような緊迫した場面で行動しなければいけません。そんな場面において、情報を素早く正確に得ることは、生死を分かつほど重要なことです。

どの程度の規模で災害が発生しているか、今いる場所は安全か、避難は必要か、どこに避難所が開設されているか、ライフラインの状況はどうかなど、正確な情報を得る事で次に自分がとるべき行動を明確化することができます。

ICT機器の保有状況

それでは、みなさんは正確な情報を得ようとする時、どんな方法を思い浮かべますか?真っ先に思い浮かぶのは、テレビやスマートフォンといった普段から身近にあるツールではないでしょうか?

出血の際の応急手当は大きく分けて①直接圧迫止血法、②関節圧迫法止血法、③止血帯止血法の3つです。

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過去に総務省が行った「ICT(情報通信技術)機器の保有状況」という調査があります。ICTとは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。

字面だけ見ると難しく感じられる方もいらっしゃると思いますが、ICTはすでに私たちの暮らしに浸透しています。前文で身近なツールとして挙げた、テレビやスマートフォンはもちろん、PCやAIスピーカーなどもICT機器に含まれます。

そんなICT機器の代表であるテレビや携帯電話(スマートフォン)は、国内で90%以上の保有率を誇っています。

テレビはつけているだけで常に最新の情報を伝え続けてくれますし、携帯電話は持ち運びが便利で、どんな場所でも必要な情報を調べることができます。どちらも保有率に違わない情報収集に最適なツールといえます。

しかし、避難が必要になるような大規模な災害時にはどうでしょうか?停電が起こったり、基地局が被害を受けて通信網が麻痺したり、日常とはかけ離れた状況の中では、これら慣れ親しんだツールでさえ、十分な情報を得ることは難しいといえます。それでは災害に強いツールとは一体何なのでしょうか?

【出典】
"情報統計データベース -東日本大震災が情報行動に与えた影響".総務省.
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/pdf/n3010000.pdf, (参照日 2019-12-12に利用)

災害に強いメディア

下記は、東日本大震災後に総務省が行った「震災時利用メディア」の調査結果です。

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【出典】
"情報統計データベース -東日本大震災が情報行動に与えた影響". 総務省.
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/pdf/n3010000.pdf, (参照日 2019-12-12に利用)

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【出典】CMYKカラーとRGBカラー | ご利用ガイド|印刷のラクスル
https://raksul.com/guide/create-data/knowledge-of-printing/color/

時間の経過とともに利用されるメディアに変化が見られることがわかりますが、震災発生時は、前項でも述べた通りテレビや携帯電話といった身近なメディアが十分に力を発揮できていないことがわかります。

逆に即時性の高いラジオの評価が他のメディアと比較し高くなっており、AMラジオの評価が 60.1%と最も高く、次いで FMラジオが続いています。

またインタビューコメントでも、「震災当初はラジオが唯一の情報入手手段であった。」と言われているなど、ラジオの評価が高いことがうかがえます。

ラジオはなぜ災害に強いのか

テレビやインターネットといったメディアが急速に普及し、日常の生活の中では、ラジオを聞く人の割合は少なくなりつつあるのが現状です。総務省が2016年(平成28年)に調査した「ラジオ放送事業者の経営概況とラジオにおける新しい動き」によると、AMの放送局は1993年から比較し、売上高が半分にまで落ち込んでいます。
そんなラジオが、阪神大震災や東日本大震災以降、災害時の情報源としてその役割を見直されています。ラジオが災害に強いとあげられる理由を1つ1つ見ていきましょう。

1.仕組みがシンプル

ラジオが災害に強い理由としてまずあげられるのが、配信の仕組みが非常にシンプルなことです。テレビのような煩雑な機材がなくても報道することができます。AMラジオはそれが特に顕著で、阪神淡路大震災の時には社屋が壊れたラジオ局から配信が行われていた事例もあります。

2.他のライフラインに依存しない

多くのラジオは乾電池式や手回し式です。災害により停電が起きても影響を受けませんし、ネット回線や電話回線も必要ありません。他のメディアがライフラインに依存しやすい分、単体で情報を得られることは、ラジオの大きな強みといえます。

3.軽量で持ち運びやすい

コンパクトで軽量な商品が多く、持ち運んでみんなで聴くことができます。ポケットラジオなどは、その名の通りポケットに入るほど小さく、通勤用のカバンにもすんなりと入れて持ち運ぶことができます。

4.情報を得ながら行動ができる

テレビや携帯電話と違い、目で情報を追いかける必要がない為、最新の情報を得ながら行動を起こすことができます。避難しながら最新の情報が得られるのも、ラジオの大きな特徴といえます。

5.状況にあわせ、広域な情報も近隣の情報も得ることができる

ラジオは大きく分けるとAMとFMに分かれています。災害時には広いエリアまで配信でき、配信方法もよりシンプルなAMラジオが圧倒的に強いと言われていますが、FMラジオもAMラジオの弱い部分をフォローする取組が進んでいます。それぞれの特色によって、広域な情報も近隣エリアの情報も得ることが出来るのも、ラジオならではのメリットといえるでしょう。

AMラジオ 広いエリアに信号を送ることができ、県境はもちろん、ときには国境も越えて放送を届けることができます。また、リポーターが現地に一人で出かけ報道ができるほど、仕組みがシンプルなのも災害に強いポイントです。しかし受信範囲が広い分、雑音やノイズの干渉を受けやすく、音がFMよりもクリアには聞こえません。
FMラジオ AMラジオが入らない場所を補完するように、東日本大震災以降に増えているのが、コミュニティ FM。超短波放送の為、受信できるエリアは半径10~20キロと狭いですが、エリアが狭いからこそ、地域に特化した細やかな情報を提供してくれます。
ワイドFM ビルやマンションが立ち並ぶようなAMが苦手とする環境でも、FM方式でAMラジオ放送を聞くことができます。ただ、ワイドFMに対応したラジオの用意が必要です。

ラジオは災害発生時から発生直後の緊急性の高いタイミングで、他のライフラインを頼らず情報が入手できる貴重なメディアといえます。

また近年は、持ち運びに便利な小型で軽量なラジオから、ライトや充電器にもなる多機能なラジオまで、シチュエーションに応じた様々な種類や価格のラジオが販売されています。いざという時に情報をいち早く入手できるよう、自宅はもちろん職場や通勤バックにもラジオを1台用意しておくと安心です。

なお、スマートフォンやパソコンのアプリを使ってラジオ放送を聞く方法もありますが、あくまでもこれはインターネット経由になります。キャリアの基地局が被害を受けてしまうと、電話と同様に使えなくなってしまうので要注意です。

東京・千葉・埼玉のラジオ局周波数一覧

ラジオをせっかく用意しても、いざという時に使えなければ意味がありません。災害時に慌てないよう、身近なラジオ局の周波数を事前に洗い出し、受信テストを行っておきましょう。

ちなみに弊社では、東京都・千葉県・埼玉県から通っている社員が主な為、三都県のラジオ局の洗い出しを行い、緊急カードにも一部の局の周波数を記載しました。会社周辺、帰宅ルート周辺、自宅周辺のラジオ局を記載しておくことで、慌てずにラジオを聞くことが出来ます。

なお、弊社で洗い出しをしたラジオ局の一覧は下記の通りです。東京都・千葉県・埼玉県だけでも数多くのラジオ局があることがわかります。会社から歩いて自宅へ帰宅する場合を例にすると、AMラジオで広域の情報を取得し、FMで地域の情報を取得するといった利用方法も出来ると思います。

東京都
放送局名 種類 周波数 URL
TBSラジオ(東京放送) AM 東京 954MHz https://www.tbsradio.jp/
文化放送 東京 1134MHz http://www.joqr.co.jp/
ニッポン放送 東京 1242MHz http://www.1242.com/
NHK東京第1放送 東京 594MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
NHK東京第2放送 東京 693MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
ラジオ日本 東京 1422MHz http://www.jorf.co.jp/
TOKYO FM FM 東京 80.0MHz http://www.jorf.co.jp/
J-WAVE 東京 81.3MHz https://www.j-wave.co.jp/
InterFM 東京 76.1MHz https://www.interfm.co.jp/
放送大学 東京 77.1MHz
NHK FM 東京 東京 82.5MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
SHIBUYA-FM VOICE 渋谷区 78.4MHz http://shibuyacrossfm.jp/
かつしかエフエム 葛飾区 78.9MHz https://kfm789.co.jp/
FMえどがわ 江戸川区 84.3MHz http://www.fm843.co.jp/
FM西東京 西東京市 84.2MHz http://842fm.west-tokyo.co.jp/
調布FM 調布市 83.3MHz http://www.chofu-fm.com/
中央エフエムRADIO CITY
84.0
中央区 84.0MHz http://fm840.jp/
エフエム世田谷 世田谷区 84.3MHz https://fmsetagaya.com/
レインボータウンFM 江東区 79.2MHz http://885fm.jp/
多摩レイクサイドFM 東村山市 79.0MHz https://tamalakesidefm.jimdo.com/
むさしのFM 武蔵野市 78.2MHz https://www.musashino-fm.co.jp/
FMたちかわ 立川84.4MHz http://www.fm844.co.jp/
千葉県
放送局名 種類 周波数 URL
TBSラジオ(東京放送) AM 東京 954MHz https://www.tbsradio.jp/
文化放送 東京 1134MHz http://www.joqr.co.jp/
ニッポン放送 東京 1242MHz http://www.1242.com/
NHK東京第1放送 東京 594MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
NHK東京第2放送 東京 693MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
ラジオ日本 東京 1422MHz http://www.jorf.co.jp/
bayFM FM 千葉 78.0MHz https://www.bayfm.co.jp/
かずさエフエム 木更津市 83.4MHz http://www.kazusafm.net/
FMうらら 浦安市 83.6 MHz http://www.fmu.co.jp/
いちはらFM 市原市 76.7MHz http://767i.com/
FMふくろう 八千代市 85.8MHz https://296.fm/
埼玉県
放送局名 種類 周波数 URL
TBSラジオ(東京放送) AM 東京 954MHz https://www.tbsradio.jp/
文化放送 東京 1134MHz http://www.joqr.co.jp/
ニッポン放送 東京 1242MHz http://www.1242.com/
NHK東京第1放送 東京 594MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
NHK東京第2放送 東京 693MHz https://www.nhk.or.jp/radio/hensei/
ラジオ日本 東京 1422MHz http://www.jorf.co.jp/
NACK5 FM 浦和 79.5MHz https://www.nack5.co.jp/
FM CHAPPY
(エフエムいるま)
入間 77.7MHz http://fmchappy.jp/
フラワーラジオ
(エフエムこうのす)
鴻巣 76.7 https://fm767.com/
REDS WAVE
(エフエム浦和)
さいたま 78.3 http://redswave.com/
クローバーラジオ 朝霞 77.5MHz https://clovermedia.jp/
ラジオNIKKEI第1 短波 6.055MHz http://www.radionikkei.jp/
ラジオNIKKEI第2 6.115MHz http://www.radionikkei.jp/

まとめ

過去の災害の経験をもとにいくら備えをしても、人は災害について基本的に常に受け身で経験不足です。私たちの予想を上回る災害がいつ起こるかは誰にもわからないからです。

日常生活で当たり前のように使っているメディアも、災害時には十分な効果を発揮できない可能性があります。

今回は災害時の情報収集に強いメディアとしてラジオを紹介してきましたが、状況に応じて最大限の対応が出来るよう、使い慣れたメディアと並用し、複数の情報収集の手段を用意しておくことが大切です。また折に触れて、災害用のアプリなど他のツールもご紹介できればなと思います。