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Googleアナリティクス4の
リリースについて

2021.01.19

技術

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こんにちは!データ解析チームの豊嶋です。

先日Googleより、旧アナリティクスである「ユニバーサルアナリティクス」に代わって、新アナリティクスである「Googleアナリティクス4プロパティ」がリリースされました。
それに伴い、Googleアナリティクス上で新アナリティクスへの変更を推奨する通知が都度表示されるようになっています。そのため、普段アナリティクスを使用している担当者の方は、新しいアナリティクスがリリースされていることに気付かれたのではないでしょうか。

しかし、現時点(2020年12月)ではまだまだ情報が少なく、以前のアナリティクスと何が違うのか、変更するメリットはあるのかなど、疑問点は多くあると思います。

そこで今回は、新しくリリースされた「Googleアナリティクス4プロパティ」の概要から特徴について詳しく解説していきたいと思います。

Googleアナリティクス4プロパティとは

Google Analytics 4 プロパティ(以下GA4)とは、旧アナリティクスのベータ版である「アプリ + ウェブ プロパティ」をアップデートしたもので、米国時間の2020年10月14日にリリースされました。

今回のアップデートの背景には、昨今のGDPR(EU一般データ保護規則)の流れによるcookieの制限など、個人情報の取り扱いに関する規制が強まっていることが挙げられています。
そのため、従来のアナリティクスの仕様とは大幅に異なり「次世代のアナリティクス」と称されるほど大きなアップデートとなっております。

また、既に新しいプロパティを作成する際はデフォルトでGA4が選択されるようになっており(現状、旧アナリティクスプロパティも併せて作成することは可能です)、時期は確定しておりませんが、今後GA4へと完全移行する見通しとなっています。

これらのことからも、GA4への移行期間である今のうちにGA4への知識をつけ、活用方法を理解することが必要になってくると思われます。

旧アナリティクスとGA4の違い

それでは旧アナリティクスとGA4の違いは何なのでしょうか。
変更点は様々ありますが、最も大きな違いを挙げるとするならば「計測の軸となる単位の変更」にあります。

具体的には、分析の軸となる単位が「セッション中心」から「イベント中心」に移ったということです。

これは個人情報の規制強化でcookieによるデータ収集が困難になったことはもちろん、そもそも異なるチャネルやデバイスなどで訪問したユーザーを、セッション単位で把握する必要性が薄れてきたことが理由として挙げられます。

例えば、広告経由で初めて訪問したユーザーが、その後2回目の訪問で自然検索経由にてコンバージョンに至ったとします。その場合、コンバージョンに至ったセッションは自然検索としてカウントされますが、初めにクリックした広告がコンバージョンの決め手となったとも言えます。
しかし、「セッション中心」の計測ではコンバージョンの決め手となった最初の接点を把握することができません。
それでは実際の「ユーザー行動」を正確に追うことができず、データ分析に差異が生じてしまいます。

そこで計測の軸を「イベント中心」にすることで、サイトやアプリへのアクセス、ページ閲覧、商品購入や会員ログインなど「ユーザー行動」を基にデータ収集を行うことができ、認知からコンバージョン、その後の行動まで一貫して把握することが可能となります。

これにより、旧アナリティクスとは異なり、より「ユーザー行動」に基づいた深い解析ができるようになっています。

この変更点を念頭に置きつつ、次の項目でGA4の特徴について述べていきます。

GA4の特徴

個人情報の規制強化等によるデータ収集や計測方法の変化により、旧アナリティクスとは大幅に異なり、GA4では様々な機能のアップデートや変更点が生じています。
今回はその中でも、GA4の特徴を4つに絞って紹介していきたいと思います。

1.アプリとウェブをまたがった計測

スマートフォンが普及したことで、ユーザーがコンバージョンに至るまでの間にアプリとウェブを併用して検索するケースも珍しくなくなりつつあります。
そのため、通常であればアプリとウェブをまたがって使用しているユーザーは同一ユーザーとして計測されるべきですが、旧アナリティクスでは異なるプラットフォーム間のユーザーを同一ユーザーとして結びつけることは出来ませんでした。

この問題を解決するために、旧アナリティクスでもベータ版であれば「アプリとウェブをまたいだ解析」は可能でしたが、使える機能が制限されており、まだまだ開発途中といった段階でした。

しかし今回GA4へアップデートされたことにより、アプリとウェブをまたいだeコマース分析ができるようになるなど、これまで制限されていた機能が大幅に改善された形でリリースされました。
それにより、ウェブ上での行動とアプリでの行動を結びつけることができ、より「ユーザー行動」を詳細に分析できるようになっています。

このようなアプリとウェブを横断したクロスプラットフォーム解析により、これまでのアナリティクスでは見つけることの出来なかった新しい気付きが生まれ、ビジネスの改善に役立つことが期待されています。

2.Googleの機械学習機能の強化

これまでもGoogleアナリティクスには機械学習が一部導入されており、cookieによるデータ収集を元にコンバージョン見込みの高いユーザーの予測などを行っていました。
しかし、cookieによるデータ収集に限界が訪れ、新たなデータ収集や計測方法を採用したことで、より高度な機械学習が搭載されました。

例えば、「7日以内にコンバージョンに至る可能性の高いユーザー」「アプリまたはサイトを今後7日以内に使用しなくなる可能性が高いユーザー」など、データを元にコンバージョン見込みと離脱見込みの高い顧客を判断してくれます。
またそれだけでなく、コンバージョンに至ったユーザーの解約率までも予測算出してくれるように変化しました。

また、機械学習を元にコンバージョンの確率が高いユーザーでオーディエンスリストを作成することができるようになり、そのリストをGoogle広告に反映させることで、よりコンバージョンの見込みが高いユーザーに対して広告配信することが可能になります。

上記のことから、今まではアナリティクス上で収集したデータを元に個人的見解から分析していたものが、機械学習を用いて自動的に分析してくれるようになったということが読み取れます。
すなわち、Googleアナリティクスが「現状を把握することに優れているツール」から、「データを元に将来を予測できるツール」へと変化したと言えます。

既にGoogle広告でも「入札戦略」といった機械学習を元にした広告配信戦略の設定があることから、今後ますますGoogleアナリティクスにおける機械学習も発展していくものと考えられます。

3.プライバシー重視のデータ収集

旧アナリティクスではcookieに依存したデータ収集を行っておりましたが、個人情報の取り扱い規制の強化でcookieによる計測が制限され、データに基づく制度の高い分析が困難になりつつあります。
こうした背景のもと、GA4では「ユーザーID」「Googleシグナル」「デバイスID」の3つを使用してデータの計測を行うように変化しています。

ユーザーID ログインが必要なサイトで発行されるIDをユーザーへ付与してデータ収集する方法
※実装が必要
Googleシグナル Googleにログインしているユーザー行動からデータ収集する方法
※「広告のカスタマイズ」をオンにしている必要あり
デバイスID PCやスマホなど個々のデバイスに付与されているIDからデータ収集する方法

多方面からデータ収集を行うことでcookie依存のデータ収集から解放されるとともに、そこに機械学習を組み合わせることで、将来を予測したデータ分析まで可能となります。

更にGoogleは、「今後Cookieやその他識別子などに頼らず、機械学習をより発展させることで不完全なデータのギャップを埋める機能を搭載していく予定」と述べています。

このことからも、今後はより機械学習を活用するための理解が必要になってくるなと感じます。

4.ビューの廃止とデータストリームの採用

従来のアナリティクスのアカウント構成は、「アカウント>プロパティ>ビュー」という形でした。 しかし、GA4では「ビュー」が廃止となり、代わりに「データストリーム」の形式が採用されています。

「データストリーム」とは、アプリやウェブからアナリティクスへデータ収集を行うために必要となるもので、1 つのプロパティ内でアプリ用・ウェブ用と複数のデータ ストリームを作成することができます。 これによりウェブとアプリの両方を計測、複数のアプリをまとめて計測することが可能となります。

また「データストリーム」への変更に伴い、「UA」から始まるトラッキングIDが「G」から始まる測定IDへと変わっています。(アプリの場合はストリームIDと表記されています)

新しくGA4を作成する際は、入力するIDを間違えないように注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
GA4には旧アナリティクスとは大きく異なる、様々な機能が追加されていました。
今後も随時アップデートを続けていくことが予想されるため、動向は要チェックです。

また、GA4にアナリティクスが完全移行するまでの期間ですが、個人的にしばらくは従来のアナリティクスをメインで活用しつつ、早めにGA4を作成することをお勧めします。
理由としては、①今回のアップデートで大幅に新機能が搭載されており、活用方法を理解するのに時間を要すること、②機械学習を効果的に活用するためにGA4により多くのデータを集めておく必要があるという点です。

GA4をいち早く導入することで、旧式を利用しながら少しずつGA4の機能に触れていき、完全移行となる前までに使いこなせるようになっていれば良いかなと思います。
また、今後も随時GA4の最新情報や詳しい活用方法について触れていく予定ですので、ご確認いただければ幸いです。

それでは本日はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございます。
また次回もよろしくお願いいたします。