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色について

2020.12.01

制作
入門

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突然ですが、僕がまだ小かった頃、48色入りのクレヨンを親に買ってもらったことがあります。その時は世界にはこんなにも色があるんだと心を動かされたのを覚えています。普段目で見えている世界には、48色どころか、数え切れないほどの色があるのに、箱に入った、たった数十色を眺めただけで世界が広がったような感覚を覚えました。私自身若さを溶かし、以前のような感動も減り、学生の頃は絵を描く事もなく、色と離れた生活を過ごしておりました。制作部での仕事を日々行う上で、離れていると思っていただけで、ふと実は常に色は身近な存在だったことに気付かされます。大人になると様々な経験を済ませてしまい、感動が減ったなと改めて感じ、少し寂しくも感じます。

皆さんは何色が好きですか?私は最近この色が好きです。

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ブルーグレーと表現すれば良いのでしょうか、マットな印象も受けます。少し暗めの色ですが、決してネガティブな程までの色ではなく、落ち着いた良いバランスなのではないかなと感じます。皆さんの好きな色もぜひ教えて欲しいです。

いきなり脱線してしまいましたが、タイトルの通り、今回は「色」がテーマです。
今回はそんな世界に溢れる色について、制作現場の観点からご紹介させていただきたいと思います。色と一概に言っても漠然としておりますが、WEB上での制作物と印刷物には、発色の方法に差があります。また、色の与える印象についてもお伝えできればと思います。

色の発色方法について

制作物に色をつけるにあたって、色には2種類「CMYK」と「RGB」の発色方法があります。

CMYK(減法混色)

CMYK(減法混色)

Cyan=シアン、Magenta=マゼンタ、Yellow=イエローの三色、そしてKey plate=キープレート(≒黒、墨)から頭文字1文字ずつ取ったもの。

これらは白を下地として、混ぜれば混ぜるほど暗い色へと変化していくため、『減法混合・減法混色』と呼ばれます。プロセスカラーとも呼ばれ、通常のカラー印刷の多くがこの4色で印刷されています。なお、理論上はCMYだけですべての色が表現できるはずですが、黒以外の色を混ぜて黒を作ることが難しいため、黒専用のインク(K)が使われます。 下記の加法混色と比べると、人によっての見え方の違いは生まれにくい混色方法です。

RGB(加法混色)

RGB(加法混色)

Red=赤、Green=緑、Blue=青の三つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混色の一種です。

これらの色を混ぜ合わせれば混ぜ合わせるほど明るい色へと変化していくため、『加法混合・加法混色』と呼ばれています。光による混色とも言えます。
ブラウン管・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイなど、コンピュータやテレビの映像表示に使われていて、サイト制作する際はRGBに設定します。当然個々のデバイスによって表現のされ方が変わり、同じデバイスでもディスプレイの設定や環境によっても変化が生まれる為、見え方の変わりやすい混色方法であると言えます。

CMYKとRGBの違い

一言で言えば、「その色が再現できる領域の違い」になります。
モニター上でデザインなどを作成して確認する際に、コピーをしてみることがあるかと思います。その際に色を表現するために使われるのは「インク」です。しかし、通常のインクでは再現できる色には限界があり(基本的には彩度の高い派手な色が苦手)、モニター上と実際に印刷した物とでは、色が異なってしまう場合が多いのです。

ではRGBで作成したものをCMYKモードで印刷してみます。

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【出典】CMYKカラーとRGBカラー | ご利用ガイド|印刷のラクスル
https://raksul.com/guide/create-data/knowledge-of-printing/color/

カラーモードを変換する画面で見る色と、紙で見る色はこれほどまでに差が出てきてしまうため、初めからソフトのカラーモードが何になっているのか確認することが大切です。また、ソフトの設定が同じでも環境による差も生まれます。そのため印刷物を作る際は予めモニターと紙で色が異なる場合があることを理解いただく必要があります。

色のトーン(色相、明度、彩度)

色には、「色相(色味)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)」と呼ばれる3つの属性があります。
PCCS(日本色研配色体系:Practical Color Co-ordinate System)では、縦軸を明度、横軸を彩度とし、以下のように体系化されています。

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【出典】明度 - めいど | 武蔵野美術大学 造形ファイル
http://zokeifile.musabi.ac.jp/明度/

また、色にはトーンというものがあり、同じ名前の色でも大きく印象を変えます。

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【出典】日本色研事業株式会社 HomePage
http://www.sikiken.co.jp/pccs/pccs04.html

同じ「赤」でもトーンによって色味が異なるため、クライアント様とやりとりをする際は一番はじめのヒアリングの段階でカラーイメージの意思疎通をすることが何よりも大事です。

色の与えるイメージ

色の与える印象はトーンによっても左右されますが、当然同じトーンの中でもどの色を選ぶかによっても大きく変わってきます。美術やデザインの教育を受けていなければ、色について体系的に意識される方は少ないのではないでしょうか。デザインを普段されない方でも、企画書や何か資料作成などの際に色の知識があれば効果的な文書の作成が可能になります。
代表的な色をピックアップし、基本的な与えるイメージや違いをご紹介します。

赤(red)

日本国旗に使用されている色でもあるため、日本人には好印象を抱かれやすい色とも言えます。そのため、非常に多くの企業ロゴで採用されています。赤からは、太陽や熱、エネルギッシュな印象を与えます。また、目を引く色であるために、購買意欲を掻き立てます。生命力に溢れる赤は、勝者や成功者、リーダー、ヒーロー、正義といった印象を与えやすいです。トイレなどのピクトサインからわかるように、女性を表すことも多い色です。

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青(blue)

代表的な寒色であり、赤と同様に企業のブランドカラーとしてよく用いられます。集中力を高めたり、心を落ち着かせる鎮静効果があります。冷静さや知性の象徴ともなります。開放感や誠実さを想起させます。青は寒色であることから、マイナスイメージでは冷たさや不安の象徴にも使われます。トイレなどのピクトサインからわかるように、男性を表すことも多い色です。

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緑(green)

身近な色でありながらも、暖色でも寒色でもない中間色で、主張が強くないため、緑はブランドカラーにあまり採用されません。自然やエコ、環境といった、植物にちなんだイメージを受けることが多く、そこから穏やかさや安らぎといった印象に繋がります。また「若葉色」という言葉があるように、若さや青臭さを象徴する色としても使われます。リラックスや生命力の印象を与え、前向きになれる色というイメージを与えます。

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黄色(yellow)

赤と並ぶ代表的な暖色で、親しみやすさや明るい印象を受けます。色相の中で最も明度が高い色です。「黄色い声援」という言葉があるように、活発で元気な印象を与えます。また、注意を促す色でもあり、信号や、スポーツの警告に使われるイエローカードとしても使用されています。太陽や光の色としてもよく使われ、転機、愉快、愛嬌の意味も持ちます。

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橙(orange)

橙色は赤と黄色の中間に位置する色です。喜びや幸福感など、ポジティブな印象を与えます。緊張を和らげたり、陽気な気分にさせる力があります。オレンジにはネガティブな印象があまりありません。ただし使い方によっては、安っぽさや、大衆的、知的さに欠けるなどの印象を与える可能性があります。また、オレンジ色にはリラックス効果があり、オレンジ色のライトを使用することで、ヒーリング効果を望めます。

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紫(purple)

色相環では赤と青の間中間に位置する色です。暖色と寒色の両面を持つ為、「高貴と低俗」だったり、「神秘と不安」などの二面性を持っています。場面や付属する色によって大きく印象が左右されてしまう色でもあります。日本では古くから高貴の象徴とされてきました。

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黒(black)

もっとも明度が低い色で、他の色と組み合わせて使うと、その色を際立たせることが出来ます。重厚感や威厳の印象を与え、権威、自信、忠誠、伝統の象徴として扱われます。また、何者にも染まらない強さを連想させます。広告で黒を使用する場合は高級感を訴求するために用いるケースが多いです。

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灰色(gray)

黒と白の中間に位置する無彩色で、落ち着いた上品な印象を与えます。周囲の色を引き立てる効果があり、調和の取りやすい色でもあります。近未来感があり、知性やスタイリッシュな印象を受けます。グレーゾーンという言葉のように、疑惑や、不信感、といった意味が込められることもあります。グレーは車のメーカーがこぞってロゴ色に採用していることがよくわかります。

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最後に

最後に、世界には何色の色があるかご存知でしょうか。少し意地悪な質問ではあると思いますが、16,777,216色以上が回答となります。この数値は、PCにおける色の数値化を元に算出しています。PCでは、0〜9、a〜fで合計16種類の中から、6桁の数字で色を表現しています。その結果16×16×16×16×16×16=16,777,216となります。1600万色以上、、、果てしない数ですね。同じ色であっても環境によって見え方は変わってくるため、もしかすると、同じに見える色は世界に一つとしてないのかもしれません。また、人が認知できる色数もおよそ187万色と言われています。これだけでも十分にすごい色数ですが多くの色は認識されないのが現実です。

この二色、ぱっと見て何色か言えますでしょうか。下手したら同じ色にも見えます。この色たちの差を言葉で伝えたいとき、あなたはどんな言葉で伝えますか?うす紫ピンク?淡いピンク?このように色を表現することは非常に難しいものです。

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普段の景色の中には、機械的に抽出できる色よりさらに多くの色が存在します。今日の風景の中で好きだなと感じた色を言葉で表現してみるのも面白いかもしれませんね。そんな小さな行為がきっと今日という日を豊かにしてくれます!

本日はここまでです。最後までお読み頂き、ありがとうございます。