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冬至と季節の話

2019.12.23

日常

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こんにちは、マーケティング部の松本です。
このブログを書いているのが2019年の12月20日なのですが、日が経つにつれてどんどん寒さが深まってマフラー無しでは外を歩くのにも身体を震わせてしまう程になりました。
仕事をしながらふと窓の外を見ると、17時にはもうすっかり日が落ちて真っ暗になっていて、毎日夜が長くなっているのだなと実感しています。
夜が長くなるといえば、一年のうちで一番昼が短く、夜が長くなる日がいつかご存知ですか?
2019年でいうと12月22日、そう、冬至の日ですね。
折角なので今回は冬至について、少しお話が出来ればと思います。

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冬至と二十四節気

そもそも冬至は一体どういう日で、どうやって決められているのか、ご存知でしょうか。
簡単にいうと、冬至とは「春夏秋冬」のように季節を表す言葉です。
春夏秋冬、つまり四季という言葉は一年を四つに分割して表したものですよね。それを更に細かく、一年を二十四分割したものを「二十四節気」と言い、冬至はこの二十四節気のうちの一つです。
一年を二十四分割する、というと365日を24で割るようなイメージですが、この場合の一年とは地球が太陽の周りを一周する360℃を24分割し、その地点を太陽が通る日を二十四節気のそれぞれの日に定めています。つまり、太陽が15℃進む度(約15日経過する度)に新しい二十四節気の季節がやってきます。地球の自転、公転など諸々の事情からこの二十四節気の各地点は年によって日にちは若干前後するのですが、太陽と地球の位置関係は変わらないので日照時間や気温などの特色が変化しないため、とても便利なのだとか。

日本では平安時代から、二十四節気を暦として用いて来ました。元々は古代中国、春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)頃に黄河流域で作られたものと言われています。古代中国では暦として月の運行に基づいた「太陰暦」が用いられていましたが、これは実際の季節とズレが生まれてしまうため、太陽の位置を基に一年を二十四分割した二十四節気や、それを更に約5日ごとに分割した「七十二候」が作られました。
何故このように季節を細分化したのかと言うと、その背景には当時の生活の主軸であった農業の存在があります。
電気の無い時代、一日の日照時間は日々の暮らしを営む上でとても重要なものでした。種まきの時期、収穫の時期などを正確に知る必要があったため、日時計などで日々の日照時間の移り変わりを確かめ、日照時間の最も長い日である「夏至」や「冬至」、昼と夜の長さが同じ日である「春分」「秋分」などを知っていったのですね。名称こそ今とは違いますが、この夏至や冬至などの日照時間が特徴的である日を季節の基準にするという仕組みは古代中国の殷の時代、今から三千年以上昔から存在しているのだそうです。

日本がこの二十四節気と七十二候を暦の中に取り入れたのは、前述の通り平安時代です。ただ二十四節気だけでは日本の気候の説明には足りなかったため、独自に「雑節」というものを設けました。代表的なものだと節分、彼岸、八十八夜、土用など。現代の日本でも行事として残っているものですね。
七十二候については中国と日本で気候の差があったため、江戸時代に日本の気候に合わせて改訂版が出され、その後明治時代に「略本暦」が出て、それまでの七十二候を大きく変えました。現在使われている日本の七十二候は、この「略本暦」が元になっています。中国の七十二候と、日本の七十二候を読み比べると、季節感の違いを知る事が出来て、とても面白いですよ。
本当は七十二候を一つずつご紹介出来れば良かったのですが、流石にあまりにも長くなってしまいますので、今回は二十四節気とその言葉の意味について、一覧にまとめてみました。

名称 時期 意味
立春 - りっしゅん 二月の初旬 冬が極まり、春の気配が立ち始める
雨水 - うすい 二月の中頃 雪が雨に変わり、溶け始める
啓蟄 - けいちつ 三月の初旬 大地が温まり、冬眠していた虫が穴から出てくる
春分 - しゅんぶん 三月の中頃 春の中心、昼と夜の長さが等しい日
清明 - せいめい 四月の初旬 万物が清々しく明るく美しい
穀雨 - こくう 四月の中頃 田畑の準備が整い、春の雨が降る
立夏 - りっか 五月の初旬 春が極まり、夏の気配が立ち始める
小満 - しょうまん 五月の中頃 万物が次第に成長して、天地に満ち始める
芒種 - ぼうしゅ 六月の初旬 芒(稲など)の種を蒔く
夏至 - げし 六月の中頃 昼が最も長くなる日
小暑 - しょうしょ 七月の初旬 梅雨の明けが近付き、徐々に暑くなっていく
大暑 - たいしょ 七月の中頃 空が晴れ渡り、暑さが本格的になる
立秋 - りっしゅう 八月の初旬 夏が極まり秋の気配が立ち始める
処暑 - しょしょ 八月の中頃 暑さが峠を越えて後退し始める
白露 - はくろ 九月の初旬 大気が冷えはじめ、朝露が輝く
秋分 - しゅんぶん 九月の中頃 秋の中心、昼と夜の長さが等しい日
寒露 - かんろ 十月の初旬 朝露が凍りはじめる
霜降 - そうこう 十月の中頃 露が霜となって大地に降り始める
立冬 - りっとう 十一月の初旬 秋が極まり冬の気配が立ち始める
小雪 - しょうせつ 十一月の中頃 わずかながら雪が降り始める
大雪 - たいせつ 十二月の初旬 雪が降り重なる
冬至 - とうじ 十二月の中頃 夜が最も長くなる日
小寒 - しょうかん 一月の初旬 冬が深まり、寒さが厳しくなっていく
大寒 - だいかん 一月の中頃 寒さが最も厳しくなる

冬至

さて、話が二十四節気に逸れてしまいましたが、冬至のお話に戻りたいと思います。
先程もお話した通り、冬至は一年で一番昼が短く、夜が長くなる日です。冬至に向かって昼は短くなって行きますので、つまり冬至を過ぎるとそれからは段々と日が長くなっていきます。そこで、冬至を太陽が生まれ変わる日と捉え、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われてきました。太陰太陽暦(旧暦)では、冬至が暦を計算する上での起点です。

中国や日本では、冬至が太陽の力が一番弱まる日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、「陰が極まり再び陽にかえる日」という意味の「一陽来復」と呼んで、冬至を境に運が向いてくると信じられています。

そんな風に上昇運に転じる日と言われている冬至ですが、みなさんは冬至と聞くと何を思い浮かべますか?柚子湯にかぼちゃ、小豆粥なんて定番ですよね。折角ですので、冬至にすると良いと言われていることや食べると良いと言われているものを幾つかご紹介したいと思います。

柚子湯

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先ずご紹介したいのは定番の柚子湯です。丸ごと湯船に浮かべたり、皮を剥いて中身と皮を一緒にネットなどに入れて浮かべる方法が主流かと思いますが、そもそも何故冬至の日に柚子湯に入ると良いと言われているのか、ご存知でしょうか。

昔から、先程ご紹介した「一陽来復」の運を呼び込む前に厄払いをするため、人々は禊として身体を清めました。昔は毎日お風呂に入れるわけではなかったので、特別な日に身体の汚れを落とし、運を呼び込み易くしようとしたのだそうです。また、香りの強いものには邪気、悪いものが寄り付かない、という考えもありました。柚子は冬が旬なので、香りも強かったのでしょう。端午の節句で知られる菖蒲湯も同じ理由だそうですよ。また、柚子(ゆず)=「融通」がきく、冬至=「湯治」に通じて縁起が良いこともあり、冬至には柚子の香りがする湯に浸かる、という習慣が生まれました。柚子湯には血行を促進して冷え性を緩和し、身体を温める事で風邪を予防したり、果肉や皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果、そして香りによるリラックス効果もありますから、寒い冬を越えるためにぴったりですね。

冬至粥

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次にご紹介するのは「冬至粥」です。これは小豆を入れたお粥の事ですね。地域によっては小豆の代わりに南瓜を入れることもあります。

何故冬至に小豆粥を食べるのかと言うと、小豆の赤色は太陽を意味する魔除けの色であり、冬至に食べて厄を払い、翌日から一層運を呼び込みやすくするためだそうです。

昔から赤い色には邪気を払い、厄除けの力があるとされてきました。お手玉に小豆を入れるのも、子どもに持たせて災いから守るという願いが込められたからなのだとか。また、小豆は非常に栄養価が高く健康に良い食材であると言われています。ビタミンB1やポリフェノールが多く含まれていて、繊維質もゴボウより多く含まれているそうです。めでたい時に食べるとされている赤飯に入れられるのも同じような理由であり、また長期保存が可能なことからいざという時の非常食とされることもあるそうです。そんな縁起もよく、栄養価の高い小豆を入れた粥を食べることで、冬を元気に過ごし運を呼び込もう、という理由から小豆粥を冬至に食べるようになったのだそうですよ。

冬至の七種(ななくさ)

最後にご紹介するのは、「冬至の七種(ななくさ)」です。みなさんは冬至の七種、ご存知ですか?私は今回記事の為に調べて初めて知って驚きました。春の七種は有名ですが、冬至にもあるんですね。

前述した通り、冬至の日は運気を呼び込む為に身を清めたりする日です。そして冬至の日には「ん」のつく食べ物を食べる事で運を呼び込む事が出来ると言われています。この縁起担ぎのことを「運盛り」というそうですよ。私も二十年以上日本で生きていますが、まだまだ知らない言葉は多いなと驚きました。
冬至の七種は、「饂飩(うんどん)」「寒天(かんてん)」「金柑(きんかん)」「銀杏(ぎんなん)」「南瓜(なんきん)」「人参(にんじん)」「蓮根(れんこん)」の七つ。
ご覧の通り、全てに「ん」が二つ付いていますよね。こういう「ん」が二つ付いているものを食べると、更に運を呼び込みやすくなるのだとか。また冬至の七種は実際に栄養価が高い食材も多いので、運盛りのためだけではなく、寒くて身体が弱りがちな冬を乗り切る為にも選ばれているのだそうです。昔の人の知恵や思いを感じて、何だか不思議な気持ちです。

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冬至の七種を知らなくても、南瓜を食べるという習慣は知っている、という方も多いのではないでしょうか。実は南瓜は「冬至の日に南瓜を食べれば風邪を引かない」と言われるほどに栄養価が高い野菜です。また長期保存が出来ることから、冬の栄養補給にぴったりだと言われて、今でも南瓜を食べる習慣が続いているのだそうです。

まとめ

普段何気なく過ぎて行く日々にも一つひとつ名前があり、そこには昔から人々が健康や豊作を祈って来た歴史があります。続いている習慣にはやはり意味があり、それらに込められた思いは現代に生きる私たちにも通ずる所がたくさんあるのだと思います。
私も今年は冬至の七種、全ては食べられないかもしれませんが、南瓜や小豆粥を食べてみようかなと思います。みなさんも冬至の七種や小豆粥を食べて、この寒い冬を病なく、元気に乗り切れますように。

今後もMEプロモーションをよろしくお願い申し上げます。