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マーケティング

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マーケ技術2020.02.20

マーケティングに活かす心理学

こんにちは、マーケティング部の松本です。

先日、あるお店で買い物をしていた時、「30%オフ!今だけ!更にレジで20%オフ!」という商品を発見しました。特に欲しかったわけではないのですが、今だけ、と言われるとついつい手が伸びてしまって購入。その後、別のお店で類似した商品が元の値段は同じで「50%オフ」となっていて、ああ損をしなくてよかった、と思ったのですが、よくよく考えるとこれは誤った考え方なんですよね。
1000円の商品が30%オフで700円、更にレジで20%オフされると560円です。これなら50%オフの500円で買った方がお得でした。
ちゃんと考えれば分かるはずなのに、視覚から得た数字を勝手に頭の中で都合よく解釈してしまったわけです。
若干の悔しさと共に、上手い書き方をするなと、そう感じました。

しかし、職場で改めて考えてみると、私は意識せず、そうとは知らずに同じような事をしていたと気づきました。
些細な表現の違いで受け取り方、感じ方は大きく異なります。事実とは異なった、いわば誤った認識をする事も多いでしょう。先の私の買い物の話が良い例です。こういった心理の偏りや傾向、現象は心理学の分野で様々な名前が付けられています。
マーケッターの仕事は平たく言ってしまえばユーザーの心に働きかける事、です。勿論真っ直ぐ、必要最低限の言葉でユーザーの心を射抜く事が出来ればそれが一番だとは思います。しかし、それは中々に難しいことです。
「どうすればユーザーの心に響くだろう」と、そう考えている時、マーケッターは自然とこの人間の心理の偏りや傾向を用いようと思考を巡らせているのです。
今更その事に気が付いた私がほんの少し調べた結果、「ああ、これは普段使っているな…」と思ったものを今回は幾つかご紹介出来ればと思います。お付き合い頂けると幸いです。

心理学 画像

バイアス

バイアス、という言葉をご存知でしょうか。
元は「bias」という英単語で、偏り、かさ上げ、または斜めのことを指す言葉です。何故わざわざカタカナで言うのかというと、日本語で「バイアス」と言うときは学問的な分野で使われる事が非常に多いからなのだとか。
よく使われる言い方としては「バイアスがかかっている」などですね。これは「見方が偏っている」とか「偏見がある」という意味になります。人間が知らず知らずのうちに持ってしまっている偏った見方について言及する時に、特によく使われます。
それでは、バイアスという言葉がよく使われる学問が何かというと、それは「心理学」と「統計学」です。今回はこのうち、「心理学」で用いられるバイアスについて、主にお話したいと思います。

アンカリング(Anchoring)

先ず初めにご紹介したいのは、「アンカリング(効果)」です。ざっくりと言うと、「最初に提示された情報が基準となり、その後の意思決定に影響が及ぶ効果」という意味になります。
最初にインパクトのある情報を与えられると、いざ判断をする時にもその情報が頭にあるままで、その決断に影響が出ます。「アンカリング」の語源である「anchor」は「錨(いかり)」という意味です。最初の情報が正確なものか、適切なのかを問わず、判断をするための基準が事前情報で固まってしまうので、その後に決断をする時にもその情報と比較をしてしまう、…と言葉で並べても、いまいちピンと来ませんよね。
マーケティングで良く使われている例だと、こういうものがあります。

アンカリング 比較画像

いかがでしょう。右の方がお買い得だな、と思いませんか。
左だと、2万円という価格を、自分の財布の中身や金銭状況と比較して高い、安い、買おう、買わない、と判断しますよね。しかし右の場合だと、「この商品が元々は5万円だ」という事前情報を与えられる事で、「この商品は5万円の価値があるものなのに、今は2万円で買える」というように事前情報である5万円と2万円で比較をします。そうすると、どうでしょう。右の方が購入する人は多そうだと思いませんか。
こういう表現はECサイトなどでよく見る通り、世間で一般的に用いられているものです。事実としてその時限定の値引き、価格変更をしているのであれば問題ないのですが、ユーザーにより強く訴えるために嘘を吐いてしまうと「二重価格表示」という不当表示に該当する恐れがあります。
二重価格表示については消費者庁のこちらのページをご確認下さい。 あくまでも事実に基づいて、上手くアンカリング効果を用いてユーザーの心を掴みたいものですね。

バンドワゴン効果(Bandwagon effect)

次にご紹介するのは、「バンドワゴン効果」です。ざっくりと言うと、「みんなが良いと思っているものを無思考で良いと思ってしまう認知バイアス」のことで、バンドワゴンの語源は「行列先頭にいる楽隊車」、「バンドワゴンに乗る=時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗る」などの意味があります。
ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択するものをさらに増大させる効果のことであり、「みんなが良いと言っているから良いものなんだ」という思考を指します。具体例としては「顧客満足度98%」「レビュー100件以上 星5」など。レビューが0件の商品より、レビューが10件でもある商品の方が「良いものなんじゃないか」という気持ちになりますよね。自分以外の誰かがその商品を選んでいる、良いものだと言っている、と認識すると、人間は「自分にとってもそれは良いものなんだ」という思考になる傾向があります。
口コミやレビューについてを訴求に盛り込むのはとても有効な手段ですが、自分がユーザーの側になった時には、目で見るだけの数字に傾倒せずに、例えば顧客満足度は全ユーザーの統計なのか、それともある程度継続しているユーザーの統計なのか等、母集団の詳細や定義についてもしっかり確認して判断するようにしたいものです。

コンコルド効果 (Concorde effect)

コンコルド効果とは、「投資が損失に繋がると分かっていてもやめられない」という人間の心理の傾向のことです。
この「投資」は、時間的な投資、金銭的な投資、精神的な投資など様々なものを含みます。今後の投資が損失になることを知っていて、理解していても、過去にしてきた投資が惜しいせいでやめられなくなってしまう。「今ここでやめたら勿体ない!」という思考になること、ありますよね。
コンコルド効果は別名、「埋没費用効果=サンクコスト効果」とも呼ばれます。

このコンコルド効果の具体例で最も想像しやすいのはギャンブルかと思います。
ギャンブルに負け続けている時、「今まで費やした分を取り戻さなくては」という気持ちからやめることが出来ず、結果として大損につながってしまうのです。ソーシャルゲームなどでよくある「ガチャ」のシステムもこの心理を利用したものです。欲しいものが幾ら費やしても出なくても、諦めてしまっては今まで費やした金額が無駄になってしまう。だから、無駄になる可能性が高くても投資を続けてしまう。こういった心理を上手く利用したサービスなのです。
マーケティングでの具体例だと、エステやダイエット食品が分かりやすいでしょうか。
最初に投資した金額や時間に対して見合う成果が得られなくとも、最初に投資した分を取り返すまでは中々辞めにくいですよね。この心理を利用して上手く継続を促す手法はよく使われていますし、有効かと思います。

このコンコルド効果の由来は、「コンコルド」という旅客機です。1969年にフランスとイギリスが共同開発した「コンコルド」は、当初はその近未来的なフォルムや性能から人気を呼びました。しかし、燃料や定員数などの問題でこのまま進めると採算が取れない事が発覚したのです。
ですが、そこでやめてしまうと今まで投資してきた時間や予算がすべて無駄になってしまう事を嫌がった経営者はそのまま開発を進め、結果としてその会社は倒産してしまいました。まさに、コンコルド効果。こういった由来から、この心理を「コンコルド効果」と呼ぶようになったのだそうです。

このコンコルド効果は日常生活の中でも生まれやすい心理です。過去に幾ら投資していようと、取り返せる見込みがないのであれば衝動に任せず、冷静な判断が出来るようになりたいですね。

ハロー効果(Halo effect)

ハロー効果とは、ざっくりと言うと「何か物事を判断する際、その物事が持つ特徴的な面に意識が引っ張られてしまい、他の面への評価がゆがむことで正しい判断が出来なくなるというもの」です。
このハロー効果はプラスに働く事もあればマイナスに働く事もあります。このプラスに働くもののことを「ポジティブ・ハロー効果」、マイナスに働くもののことを「ネガティブ・ハロー効果」と言います。
言ってしまえば第一印象が良いか悪いか、という事です。例を挙げるとすれば、面接の際の身だしなみなどが分かり易いでしょうか。面接時によれよれで皺だらけの服を着ていたり、あまり清潔感がないと、どれだけ立派な経歴や資格をアピールされても「だらしがない人」という印象が先に来てしまいますよね。逆に丁寧にアイロンがかけてあるようなきっちりとした身だしなみをしていれば「しっかりしている人」という印象を受けます。
ですが、実際は分かりません。よれよれの人は服装だけが整っておらず、普段や仕事上ではきっちりとしているかもしれませんし、逆に服は整っていても勤務態度はだらけているかもしれません。勿論、場に合った服装をして来るかどうかも大切ですが、そういった第一印象や一つの面で他の面の評価も偏ってしまうことって、よくありますよね。

マーケティングで使われている具体例としては、簡単なものですが、良いレビューを一番目に付く場所に置く、という手法でしょうか。悪いレビューを一番初めに見てしまうと、その内容を元にして他のレビューや説明を読むことになります。第一印象というのは覆りにくいものですから、これは避けるべきでしょう。逆に良いレビューを最初に見れば、その商品やサービスに対して好印象を持ったまま他のレビューや説明を見ることになります。望むべきは此方ですね。ホームページの制作を行う際にも、ファーストビューは暗いイメージを持つものではなく、明るく好印象なものにすると、その後のホームページ全体、そしてサービスの内容にも好印象を抱いてもらえます。

ちなみに、ハロー効果のハローは「Hello」ではなく、「Halo」。これは「頭上や後ろに描かれる光の輪」「後光」という意味で、後光の程度によって印象が左右され、相手に対する評価が歪む、という事を表しています。このことからハロー効果は別名「後光効果」や「光背効果」と呼ばれます。

少数の法則(law of small numbers)

少数の法則とは、「試行回数が少ないにも関わらずそれが正しいと思いこんでしまう」心理の事です。
人間の脳は基本的に、過去の経験を元にしたデータから物事を判断します。例えば、サイコロの出目はどれも1/6の確率で出ます。ですが3回連続同じ目が出たら、「このサイコロはこの目が出やすいサイコロなのではないか」と思いますよね。100回、1000回振ったら、勿論1/6ずつに結果は収束していくのですが、実はサイコロを20回振って3回連続同じ目が出る確率は36%もあるのです。そういった純然たる事実より、人間は自分の経験を優先して判断してしまいます。少数のサンプルを元に、客観性を失って主観的に物事を判断してしまう。こういった心理を「少数の法則」と呼びます。「確率の誤認知」とも呼ばれますね。
似たような心理として、ギャンブラーの誤謬(gambler's fallacy)があります。偶然がある方向に偏ると、次はその偏りを回復するために逆の方向に偏るだろう、と考える心理のことです。しかし実際にはそのような力が働くことはなく、試行回数が増えるにつれて、徐々に正しい確率へと向かっていくのです。例としてはギャンブルで負け続けている時に、次は勝つだろう、と考えてしまうようなものを指します。
マーケティングでの例を出すのであれば、口コミやお客様の声などがあります。良い口コミやお客様の声だけピックアップしているかもしれないのに、全体の中で数が多いと「このサービスはみんなが良いと思っているものなんだ」と思ってしまうユーザーの心理を上手く利用しています。勿論嘘はいけませんが、印象を良くするためにこうした心理を上手に活用したいものですね。

サンプルサイズに対する鈍感さ (Insensitivity to sample size)

「サンプルサイズに対する鈍感さ」とは、「人間はサンプルのサイズよりも代表性に目を向ける」というもの心理現象のことを指します。上記の少数の法則と少し似ていますね。
例えば「このコイントスのやり方で表が出た確率は60%だった」と言われたら、そのやり方をすれば表を出しやすいのだ、と考えますよね。ですが、5回コイントスをして3回表が出た、と言われると、それはただの偶然だろうと思います。5回コイントスをして3回表が出ると、確率は60%。決して嘘ではありません。サンプルサイズ、試行回数を知っているか否かで、受け取り方は大きく異なります。
よく、「顧客満足度98%!」なんて訴求を目にしませんか?それは凄い、きっととても良い商品に違いない、と思いますよね。ですがその顧客満足度、何人からアンケートを取ったものか知っていますか?もしかしたらリピート購入をした人にだけ訊いた結果かもしれないし、10人に訊いて9人が答えただけかもしれません。口コミなんかでも「100人が90点の評価をした商品」と「1人が90点の評価をした商品」は評価だけ見てしまえば同じ90点ですが、どちらの方が信用できますか?
このように、人間は時にサンプルサイズに対して非常に鈍感です。これを利用して訴求を行う事は有効ではありますが、過剰な印象の誘導はユーザーの不信感を招き、結果としてサービス自体の印象を下げる事もあります。こういった心理を利用する時は慎重に行いましょう。

希少性の原理(principle of scarcity)

希少性の原理とは、「求められている量に比べて供給出来る量が少ないもの程、価値が高く感じられる」というものです。
例えば数。「数量限定」「在庫残り僅か」などと言われると今逃してしまったら手に入らないのではないか、と思いますよね。また時間的な希少性も同じで、「○○日まで限定」「当日申し込み限定」などと言われると焦燥感に駆られる感覚がありませんか?
いつでも値段も何も変わらず買えます、という商品なら「今買わなくてもいいか」と思って、結果として忘れてしまったりします。売る側、そしてマーケッターとしては、それは一番避けたい事だと思います。
それを回避するため、希少性の原理は非常によく利用されています。「○○日まで!▲▲%オフ!」「数量限定!先着○○名限定!」…よく見る煽り文句ですね。タイムセールなども同じ原理を利用しています。
ユーザーとしては希少性に釣られず、本当にそれは必要なものなのか、自分にとってそのサービスや商品自体の価値はその価格と釣り合うのかを冷静に考える必要があります。また、マーケッターとしても、無闇矢鱈と利用するのではなく、的確に正しく、希少性の原理を用いた訴求を行わなければなりません。値引きや特典など、景品表示法に違反しないように、しっかりと考えて利用しなくてはなりませんね。

ウィンザー効果(windsor Effect)

ウィンザー効果とは、「直接言われるよりも第三者から間接的に言われた方が信憑性・信頼性が増す」というものです。
例えば上司から「私はいつも君の事を気にかけているんだよ」と言われると何だか押し付けがましく感じたり、本当に?と疑心を抱いてしまいますが、同僚から「あの上司、いつも君のことを気にかけてくれているよね」と言われると素直に「ああ、そうなんだ、嬉しいな」と受け取る事が出来るかと思います。ここで大事なのは同僚の言葉が本当なのか嘘なのかは関係ないという点です。例え嘘であっても、上司から直接聞くより同僚から聞いたほうが信頼性が増しますよね。
何故そうなるのかと言うと、「利害関係のない第三者には嘘を吐く必要がない」と無意識に考えているからです。営業マンが自社の商品の良い点を並べて勧めて来ても「買ってもらわないと困るんだろう」「自社の商品だから褒めているだけだろう」と疑ってしまいますが、その会社と全く関係ない友人から同じ良い点を並べて勧められたら、信じてしまいますよね。 マーケティングにおいて活用されている例としては、口コミやレビューがあります。販売主がどれだけ熱意を持ってその商品の良いところを説明したとしても、幾つかの第三者による口コミが判断を左右する場合は非常に多いです。第三者の声、というのはそれほどの強さを持って、ユーザーの心に響きます。
ちなみに、ウィンザー効果という名前はある小説に由来しているそうです。アーリーン・ロマネスという作家の「伯爵夫人はスパイ」というミステリー小説で、登場人物であるウィンザー伯爵夫人の台詞に「第三者の褒め言葉がどんな時も一番効果があるのよ、忘れないでね」というものがあります。この台詞から夫人の名前を取って、「ウィンザー効果」と呼ばれるようになったのだとか。

フレーミング効果(Framing effect)

フレーミング効果とは、「実質的には同じ意味を表す選択肢であっても、その表現方法などが異なるだけで全く逆の選択をしてしまう」という心理現象のことを指します。
分かりやすい例として挙げると、「ビタミンCを1g配合」と「レモン50個分のビタミンC配合」だと、どちらがビタミンCを多く含んでいるように感じますか?後者を選ばれる方が多いかと思いますが、実はこの2つの文章は全く同じ意味なんです。表現ひとつ違うだけで、こんなにも訴求力が違うのかと驚きますよね。
より良く見えるように、またより危機感や焦燥感を煽るようになど、工夫によって訴求は如何ようにも変えられるものです。ユーザーの心により響くように、上手く活用していきたいものです。

コントラスト効果 (Contrast effect)

コントラスト効果とは「前後に対比させるものによってものの印象が大きく変わる」心理現象のことを指します。
これまでもご紹介した通り、人間の脳は客観的ではなく相対的に物事を判断する傾向があります。例えばチョコレートを食べたあとにレモンを食べると、ただレモンを食べたときよりも酸っぱく感じます。逆にレモンを食べた後にチョコレートを食べると、ただ食べるよりも甘く感じます。これは人間の脳が「チョコレートの味」と「レモンの味」を比べているために起こる現象です。
マーケティングにおいての例を挙げると、不動産業界における「当て馬物件」などが該当するかと思います。「当て馬物件」とは、実際に賃貸や販売に出したい本命の物件を案内する前に見せる、あまり魅力的ではない物件のことです。価格が高かったり、立地が悪かったりする条件の良くない物件をあえて最初にすることで、その後に案内する本命の物件がコントラスト効果によって、より魅力的に見えます。これこそ、見事にコントラスト効果を活用したマーケティングですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。私は決して心理学や統計学の専門家ではないので、その道の方がご覧になったら至らない箇所も多いかと思いますが、どうかご容赦頂けると幸いです。
少し調べただけでもマーケティングに活用できる人間の心理や傾向などは数多くあり、普段何気なく利用しているものでも、その意味や仕組みを理解した上で活用するのとでは効果の度合いも違うのだろうと改めて思いました。ユーザーの心理を利用する、というと何だか少し人聞きが悪いですが、あくまで商品やサービスの魅力をよりはっきりと伝えるため。景品表示法やモラルに反さないよう、今後も勉強を続けて、よりマーケティングの手腕を磨いて行きたいと思います。

今後とも、MEプロモーションをよろしくお願いいたします。