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マーケティングに活かす心理学
-Part2-

2020.06.25

マーケティング
技術

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こんにちは、マーケティング部の松本です。
先日、「マーケティングに活かす心理学」というブログを書かせて頂きました。それが意外と社内から好評で、折角なので今回は第二弾を書かせて頂きたいと思います。
そもそも何故マーケティングにおいて人間の心理学への理解を深めることが重要なのかというと、それは私たちマーケッターが常に意識すべき相手は同じ人間であるユーザーでありながら、対面してその表情や仕草、言葉を聞く事が出来ないからです。声を用いず、身振り手振りも、自分自身で訴えかける事の出来ない代わりに、私達は広告という媒体を使ってユーザーへと訴え、語りかけます。ですが、訴えた先のユーザーがどんな顔をしているのか。広告を通じて受け取った私達の訴えをどう思い、どう考え、どういう反応をするのか。私達にはこの目で見て確かめる手段はありません。分かるのは、ユーザーが取った行動という結果だけです。だからこそ、人間の心理や行動についての理解を深めることによって、目で見ることは出来なくともユーザーの反応を予測、測定する事が出来るようになります。どういった文言や表現が、人を特定の方向へと誘導するのか。どうその心に働きかけるのか。全ての人間に対して同一の結果とはならなくとも、多くの人間の傾向を基にした学問である心理学は、マーケティングにおいて、重要な手法となり得ます。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は普段からWEBマーケティングに活かす事が出来る人間の心理学について、前回紹介し切れなかったものを幾つかご紹介したいと思います。お付き合い頂けると幸いです。

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ザイオンス効果

ザイオンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱した心理効果で、別名「単純接触効果」とも呼ばれています。相手に何度も繰り返し接触することによって、だんだん好感度や評価などが高まっていくという効果です。
興味や関心の無かったモノや人物でも、頻繁に目に触れたり、接する機会が増えたりした場合、次第にその対象に対して良い印象を持つようになるのだとか。接触回数があるほどその対象への警戒心や恐怖心が薄れ、親近感を持つというのがザイオンス効果の顕著な例なのだそうです。
このザイオンス効果を上手く活用している例は、メールマガジンやSNS、ブログなどの定期更新、そしてリマーケティング広告だと言われています。定期的にユーザーへと接触することで好印象を抱かせる事が出来ます。

ただし、注意しなくてはならない点もあります。一つはこのザイオンス効果は、好きか嫌いかが決定される前に活用しなくてはいけません。そもそも嫌いであったり、悪い印象を抱いているものに接触される機会が増えてしまうと、益々嫌悪感が強まってしまいます。もう一つは、ザイオンス効果を用いる媒体、例えばメールマガジンや広告文にマイナスポイントを記載してはいけません。一度マイナスポイントを表してしまうと、その後接触する度にそのマイナスポイントを思い浮かべられてしまうのだそう。逆効果になってしまうので、この二点は気を付けなくてはいけませんね。

ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果とは、人は達成できた事柄よりも、達成することができなかった事柄や中断している事柄のほうを強く覚えている、という現象のことを指します。
例えば、テレビ番組で「続きはCMの後で!」とか、「クイズの答えは60秒後!」とか。また、ネットニュースなどの記事でも「2ページ目以降は会員限定」など、よく見ますよね。とても良いところで途切れるので、ついつい続きも見たくなりますし、結果を知りたくなります。普通に答えが発表されたクイズより、CMを挟んでから答えが発表されたクイズの方が長く覚えていたりしませんか?こういった演出も、ツァイガルニク効果を活用したものです。
「知りたい内容や興味の対象を一旦遮断されることで、より強く気になってしまう」というのが、ツァイガルニク効果の基本的な原理です。

バーナム効果

突然ですが、占いは好きですか?世の中には色々な占いがありますよね。血液型占い、星座占い、手相や生年月日なんていうのもメジャーです。そんな占いの結果を目にした時、「あ、これは自分に当てはまってるから、この占いは当たるのかもしれない」と思った経験は有りませんか?実はそういう結果の中には、このバーナム効果によるものが混ざっているかもしれません。
バーナム効果とは、誰にでも当てはまりそうな性格などの特徴を言われた人が、自分にズバリ当てはまっていると勘違いしてしまう現象のことです。人が占いにハマってしまう理由などを研究していた心理学者のバートラム・フォアの名前から「フォアラー効果」とも呼ばれます。
19世紀のアメリカで人の心理を巧みに操りサーカスを大成功させたフィニアス・テイラー・バーナムの言葉に、「We've got something for everyone.」というものがあります。日本語では「誰にでも当てはまる要点というものがある」と訳されていて、そこから心理学者がこの現象を「バーナム効果」と名付けたのだそうです。

例えば、今このブログをご覧になっているあなた。最近肩が重くはありませんか?それは人間関係の悩みが原因かもしれません。
…こう言われて、どきりとした方はいらっしゃるでしょうか。ですがこれは、別に占いでも何でもありません。マーケティング関係のブログに目を通していることはマーケティング関連のお仕事、またはそれに近しい、IT関連の職業の方である可能性が高い。IT関連の職業の方は大抵の場合、慢性的な肩こりと付き合いがあります。また、現代社会で人間関係に全く悩んでいないという人は、そう多くないはずです。
このように、誰にでも当てはまる言葉、もしくは大多数の人間に心当たりがある言葉というものは確かに存在します。これを上手く活用したキャッチコピーは、「自分のことだ!」とユーザーに思わせる事が出来、訴求効果を高める事が可能です。

クレショフ効果

クレショフ効果とは、複数の画像や映像を並べられると、その複数の画像の間に何の関係が無くても、無意識にその前後関係を連想して特定の意味を解釈する心理効果です。
クレショフ効果は、複数の映像をつなぎ合わせることで新しい意味が生まれるという映画理論の一つ、「モンタージュ理論」の検証過程で発見された認知バイアスの一つです。モンタージュ理論とは、旧ソ連の映画監督セルゲイ・M・エイゼンシュテインが提唱したもので、例えば「爆弾の映像」と「海上に浮かぶ戦艦の映像」を並べると、人は「戦艦が爆弾で攻撃される次の事態」を無意識的・物語的に連想してしまいます。

この効果をマーケティングに活用するのであれば、優しいイメージを与えたい商品には「花」や「笑顔」などの優しい印象を齎すものを側に配置するのが良い、ということになりますね。どれだけ美味しそうなケーキの写真でも、一緒に写っている人が顰めっ面では美味しそうには見えません。写真ひとつ、表情ひとつでも受ける印象は大きく異なりますから、上手く活用しなくてはいけません。

返報性の原理

返報性の原理(法則)とは、人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになるという心理作用のことです。この心理は、人間が本来持っている義理や人情のようなものかもしれません。人や関係性によって感じ方はそれぞれですが、ただ単に「うれしい」「ありがたい」と感じる場合もあれば、一方的に施しを受けたままではマナーに反していると考えたり、何かで返さなければとプレッシャーになったりする場合もあるでしょう。
返報性の原理の一種には、「好意の返報性」というものが存在します。好意の返報性とは、人から好意ある施しを受けたり、親切にしてもらったときに、それ以上の好意や親切をもってお返ししたいと思う心理です。身近でたとえるなら、バレンタインデーやホワイトデーなどといったイベントがそうですね。バレンタインデーに義理チョコをあげるのは「いつもお世話になっているから」という気持ちからですし、ホワイトデーにお返しをするのは「チョコレートをもらったからお返しをするのがルール」という心理が働くからです。
このように、返報性の原理は意外と日常の中に隠れているものなんですね。

この返報性の原理をマーケティングに活かしているのは、ウェルカムドリンクや「無料でプレゼント」、「無料でお試し」などでしょうか。最初に無料で何かを手渡すことで、何かそれに報いなければ、とユーザーに思わせることで、購入やそれに類する反応へと誘導する事が出来ます。

ストループ効果

ストループ効果とは、1935年に心理学者のジェームズ・R・ストループにより報告された、同時に提供される二つの情報が干渉しあって理解を妨げたり困難にする現象のことです。
例えば、下の文字を見て下さい。

緑色で書かれた赤という文字は、赤色で書かれた赤という文字に比べ、音読に時間がかかるという実験結果があります。確かに、ぱっと見た時に一瞬混乱しますよね。情報処理の過程で起こるこれらの葛藤は受け手にストレスを感じさせ、結果としてデザインやその内容に対する不快感さえ呼び起こしかねません。意外性やサプライズを狙う場合を除いて、これらを回避するためにもデザイン、とりわけ情報伝達デザインの分野では、一般的に広く認知された物事を上手く利用したデザインが望ましいと言われています。
信号機では赤はとまれ、青はすすめ、が一般的ですよね。女性用のお手洗いのマークは赤で、男性用のお手洗いのマークは青。そういった、私達が一般的に認識している色と印象は意外としっかり頭に刻み込まれているものです。あえて逆にする必要がある場合やインパクト性を重視する場合以外では、サイトやバナーのデザインにおいても、一般的な使い方をするべきでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
第二弾ということで、マーケティングに活かせる心理学をご紹介させて頂きました。前回も申し上げましたが私は心理学の専門家ではありませんので、間違っているところや解釈の甘いところがあるかもしれませんが、ご容赦頂けると幸いです。 マーケティングに活かせる心理学、と絞ってご紹介していますが、調べる過程では様々な心理学、行動心理について学ぶことが出来ます。知識は得て無駄になるものではありませんし、人間の心理について知る事で普段の生活もより豊かになります。興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非一度調べてみて下さい。
さて、このマーケティングに活かせる心理学シリーズですが、あと一回程ブログのテーマとさせて頂く予定です。その際も、お付き合い頂けると幸いです。
これからも、MEプロモーションをよろしくお願いいたします。