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マーケ技術2020.07.30

マーケティングに活かす心理学 -Part3-

こんにちは、マーケティング部の松本です。
今回もマーケティングに活かすことの出来そうな人間の心理について、少しお話が出来ればと思います。第一回、第二回とご紹介を続けて参りましたが、第一回のブログを書いている時はまさかこのように第二回、第三回と続くことになるとは思っていませんでした。もし初めから分かっていたなら、もう少し内容も順番など系統別にまとめて…と考えても後の祭りですね。
それでは今回も、お付き合い頂けると幸いです。

マジカルナンバー

マジカルナンバーとは、アメリカの心理学者ジョージ・ミラーが発表した「人間が瞬間的に記憶できる短期記憶の限界容量」のことです。ミラーは、短期記憶の容量の限界は”7±2個のチャンク”であると発表しました。しかしその後、2001年にネルソン・コーワンにより、マジカルナンバーは”4±1個”のチャンクであると発表され、現在ではネルソン・コーワンの”4±1”が定説になっています。
短期記憶とは、人間の記憶のうちで短期的に保持される記憶のことです。感覚器官の受け取った刺激に意識が向けられることにより記憶が保持されるのですが、その持続時間は数十秒から数カ月程度とされています。最近の研究では最長2年という説もあるのだとか。
例えばレストランに食事に行った時、店員さんから「オススメは人気No.1のハンバーグ定食とNo.2の生姜焼き定食、それから期間限定の夏野菜カレーセットにニンニクたっぷり餃子定食、さっぱり大根おろしの唐揚げ定食、定番ですと親子丼セットとカツ丼セット、ラーメン定食です!」なんて矢継ぎ早に言われたら混乱してしまいますよね。そんなにたくさん言われても覚えられない、と。これが短期記憶の限界容量を超えた状態になります。

ユーザーに何かを訴えかける時、ついつい一度に多くの情報を提示したくなってしまいますよね。離脱される前に少しでも心を惹き付けたくなってしまうのですが、この短期記憶の限界容量を超えてしまうとユーザーは「分かりにくい」という印象を持ってしまう可能性があります。サイトのグローバルナビゲーションであったり、メリットの提示であったり、一度に提示する情報は短期記憶の限界容量である4±1個、つまり3〜5個の範囲に収めるように情報量をコントロールすることで、人間の心理に基づいた適度な訴求や誘導を行うことが出来るということになります。ユーザーが戸惑ったり、混乱しないよう、適度な情報の提示を心がけて行かなくてはいけませんね。

決定回避の法則

「決定回避の法則」とは人は選択肢が多くなりすぎると、その中から一つのものを選んで決定することを避けがちになるという法則です。行動経済学でよく指摘される「決定回避の法則」は、社会心理学者シーナ・アイエンガーの論文「Choice and its Discontents(選択と不満)」に掲載された「ジャム実験」で証明されたといわれています。
「ジャム実験」とは、日にちを分けて「24種類のジャム」と「6種類のジャム」を売り出し試食率と購買率を計測するという実験です。結果として、6種類のジャムの方が実際の購買率が高いという結果が出ました。「24種類のジャム」を売った場合、試食率は約60%と高かったのですが、実際の購買率は約3%に留まりました。一方、種類を減らした「6種類のジャム」を売った場合では試食率こそ約40%でしたが、購買率は約30%と非常に高かったのです。この「ジャム実験」の結果から、人間は数多くの選択肢を提示されるとその中から一つを選ぶことを避けがちになり、絞り込まれた選択肢を提示された場合の方が決定率が上がる傾向にある、と証明されたわけですね。
この法則を重視するのであれば、ユーザーの決定を促すには、「これだけたくさんの商品やサービスがありますよ」とずらっと羅列するのではなく、その前にユーザーが本当に求めているものが何かを判別するステップを踏み、その需要に適して絞り込んだ選択肢のみを提示するべき、と考えられます。大手ECサイトでも、ユーザーの好む傾向などを分析してオススメの商品、と表示していたりしますよね。小さな事ではありますが、購買率を確実に向上させるためには「絞り込む」というステップが必要だと証明されています。数多くの商品や選択肢はユーザーを呼び込む為には大切な訴求ポイントとなりますが、いざユーザーに購買や選択を促す際にはよりユーザーの心理に寄り添った、「ユーザーが選びやすい」マーケティング戦略が必要です。

ゴルディロックス効果

「ゴルディロックス効果」とは、三段階の選択肢があるときに、人は真ん中の選択肢を選びやすい傾向があるという心理現象です。日本語では「松竹梅の法則」と呼ばれることもあります。「松」「竹」「梅」の3段階の選択肢がある場合には「竹」という真ん中の選択肢が選ばれやすく、その比率は「松:竹:梅」が「2:5:3」であると言われています。
人間は物事を相対的に判断する傾向にあります。複数の選択肢がある場合、自身の需要に適したものを、というよりも、その選択肢同士を比較して判断する事が多いのだそう。
例えば同じ種類の商品を買おうとした場合、10,000円と7,000円と5,000円、と並んでいた場合、まず10,000円の商品に対しては「極端な選択肢を避けたがる」という心理的な法則が働きます。また5,000円の商品に対しては「安すぎるものを買って損をしたくない」という損失を回避したがる心理的な法則が働きます。結果として、7,000円の商品がより選ばれやすくなるのです。勿論この仮定はその複数の選択肢の違いが適切であった場合です。7,000円と5,000円の選択肢の中身がユーザーから見て差がない場合は、勿論安い5,000円の方が選ばれやすくなります。
この効果を利用したマーケティング手法としては、一番売りたい商品を「松竹梅」の「竹」の位置に据え、「松」と「梅」を用意することで購買率を向上させるというものが一般的です。

テンション・リダクション効果

テンション・リダクション効果の「テンション(tension)」とは緊張を意味し、「リダクション(reduction)」とは減少や消滅を意味します。つまり、緊張状態が消滅したあとの注意力が散漫になり無防備な状態になってしまうことを指してテンション・リダクションと言います。そして、これをマーケティングに利用したものが、テンション・リダクション効果です。
このテンション・リダクションは、一番身近な例で言えば幼い頃によく言われた「遠足は家に帰るまでが遠足です」という言葉ではないでしょうか。遠足という子供にとっては一大行事を終えて、はしゃぎきった後の帰り道は疲労も伴い、注意力が散漫になってしまいます。そのため、事故や怪我の危険性が高まってしまうのですね。それに対する警告として、「遠足は家に帰るまでが遠足です」という言葉が広く浸透するようになったのかもしれません。
マーケティングに活用する場合、例えば宝石や車、住宅などの何か高級な買い物をしたとします。高級品ですから、ユーザーは購入自体を悩んだり、できるだけ安いお店を探したり、金額によってはローンを組んだりと、購入に至るまでに様々な段階を踏まなくてはいけません。ですので、その段階を超えて購入や決定をした直後は緊張がゆるみがちです。その緊張がゆるんだ状態のユーザーに、直前に購入した商品等よりも圧倒的に安価な付属品やオプションの購入や決定を勧める事で購買率を向上させるのが、テンション・リダクション効果の一般的な活用方法であると言われています。
ECサイトやネットショッピング系のサイトでも、購入を終えた後に「この商品もオススメです」や「この商品を購入された方限定!」などの表示がされる事がありますよね。あれもテンション・リダクション効果を利用した、購入後の心理的に無防備な状態のユーザーに訴えかける手法です。
無防備な状態に漬け込む、というと聞こえは悪いですが、購入に対する心理的ハードルの下がっている状態に、適切な誘導を行うことで購買率を向上させる事が出来る、というのはマーケティングにおいて非常に大きなメリットです。適度に、適切に、活用していきたいものですね。

マッチングリスク意識

マッチングリスク意識とは、ユーザーが商品やサービスを購入する際に考慮する購入後のリスクのことを指します。これは過去に選択した商品やサービスには働かず、新しいものの購入を検討する段階でのみ働きます。「自分に合わなかったらどうしよう」という気持ちは、恐らく誰にでも覚えがありますよね。
この意識は、例えば購入前に手に取って試す事が出来る商品に対しては働きにくいものです。自分に合うかどうか、良いものかどうかを確かめてから購入する事が出来ますから、納得出来ますね。しかしこれが高額の商品や事前に試す事が出来ないものになると、この意識はぐっと高まります。代表的な例として、ネットショッピングがあります。実際に目で見る事も試す事も出来ない、という状況は想像以上にユーザーのマッチングリスク意識を高めてしまうのだそう。試乗、試着が出来たり、実物を目で確かめられる車や時計などの高級商品よりも、本当に写真通りのものが届くのか、サイズは問題ないのかなど、事前に確かめられないネット上での購入に対して、この意識は強く働きやすいわけですね。マッチングリスク意識は「もし合わなかった」場合のリスクが跳ね上がる程に強く働き、結果としてユーザーは購入を思い留まってしまう事も多く、売り手側からすればとても口惜しい結果となってしまいます。

この意識を回避するための対策としては、「関係性の構築」「周囲の意見」「試供品・無料サービス」「返品・返金サービス」「アフターフォロー」が一般的です。

関係性の構築

初めての商品を購入する前に働くこのマッチングリスク意識、しかし商品を販売する側への信頼感が事前にあれば、容易に低減出来ると言われています。例えばブランディング施策などで企業や会社への信頼を獲得しておく、長期的に営業を行い販売員や営業マンとの信頼関係を構築する、などですね。

周囲の意見

商品を購入する前に、既に購入した誰かの意見があれば「自分も同じで大丈夫かもしれない」という心理からマッチングリスク意識を低減させる事が出来ると言われています。口コミやレビューで好意的な意見を目にすれば、商品に対する疑いや不信感も薄れますよね。

供品・無料サービス

マッチングリスク意識が「自分に合うかどうか」という不安であるのなら、事前に試す事が出来れば低減させる事は容易です。例えば試供品の提供、また期間限定の無料お試しプランなど、購入というユーザーが対価を支払う段階の前に、自分に合っているのかを確かめる事が出来れば強い安心感に繋がります。

返品・返金サービス

購入した後に自分に合わず、結果として損をしてしまうというリスクを不安に思うのがマッチングリスク意識であるのなら、「購入した後に合わなくても大丈夫」という仕組みを構築することで低減することが可能です。「何日以内なら返品可能」「効果を実感できなければ全額返金」などのサービスがあることで、合わなくても損をすることがなく、リスクを売り手側が負ってくれる、という安心感に繋がり、購入に対する心理的ハードルを下げる事が出来ます。

アフターフォロー

実際に購入した後のことを、ユーザーは想像以上に気にかけています。そのため、購入後の保証期間やサポート体制などを手厚く提供することにより、一番気になる「購入後」に対する不安感を拭う事が出来、購入に対する心理的ハードルを引き下げる事が可能です。これは返品・返金サービスにも繋がることですが、「購入をして合わなくても大丈夫」という心理にユーザーを導くことが、購買率の向上に有効ということですね。

ディドロ効果

ディドロ効果とは「自分が気に入った商品を購入すると、その商品に合わせた雰囲気の物で統一したくなる」という心理現象のことです。フランスの思想家、ドゥニ・ディドロが書いたエッセイにちなんで、文化人類学者のグラント・マクラッケンによって定義付けられました。ドゥニ・ディドロのエッセイでは、友人からおしゃれな洋服をもらった筆者が、その服に見合う空間を整えようとかつてのものを手放し、新しいものを新調していったという例が紹介されています。
例えば百均商品での節約収納術をひとつ試した人が、家中の収納に百均商品を活用したくなったり。割れた食器の代わりに、今までより少し良い食器を買ったら食器棚の中でそれだけが目立ってしまって、他の食器も良いものに統一したくなってしまったり。名前に馴染みはなくとも、日常的にすぐそばで働いている心理現象なのです。
では何故統一したくなってしまうのかというと、人には元々一貫性のある行動を取ろうとする性質があり、それを「一貫性の原理」といいます。ディドロ効果はこの一貫性の原理が強く働いた結果なのだとか。何かひとつ、新しいものを今までの自分の世界に受け入れたのだから、他のものも新しいものを受け入れるという一貫性を持たなければ気持ちが悪い…と感じてしまう、それがディドロ効果の原因だと言われています。
このディドロ効果が活用されている例は、洋服のマネキンコーディネートやシリーズもののガチャガチャ、そして近年最も活用されているのはスマートフォンのゲームでしょうか。ガチャガチャを一度やって一つ手に入れてしまうと、ついついシリーズを揃えたくなってしまう。ゲームでも、一つ強い、もしくは特別なアイテムを手に入れてしまうと、他の装備などのアイテムも同じ品質に揃えたくなってしまう。そういった効果を利用して、スマートフォンのゲームなどでは始めたばかりの頃にキャンペーンなどで特別なアイテムをプレゼントし、他のアイテムもその特別なアイテムに相応しいように揃えるべく長期の利用やログインを促す手法が使われています。
ネットショッピングなどでは、シリーズものの商品の内のひとつを無料、もしくは格安でユーザーに入手させ、他のシリーズも購入して揃えたくなるように誘導する事で活用される事が一般的です。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
全三回となった「マーケティングに活かす心理学」シリーズですが、今回で一旦終了とさせていただきます。しかし、マーケティングに携わる人間として、人間の心理現象や心理効果についてはこれからも学びを深めて行きたいと考えていますので、いつかまたマーケティングに活用できる心理学についてブログを書かせて頂く機会もあるかもしれません。ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

今後とも、MEプロモーションをよろしくお願いいたします。