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P-MAXキャンペーンとは

2022.06.03

マーケティング

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こんにちは、マーケティング部の松本です。
今回はGoogle広告に追加された新しいキャンペーンタイプで、「次世代のキャンペーン」とも呼ばれる「P-MAXキャンペーン」について、簡単にご紹介したいと思います。お付き合い頂けると幸いです。

P-MAXキャンペーンとは

Google広告は年々自動化が進み、機械学習の自動最適化の適用を公式が推し進めています。それに伴いスマートディスプレイキャンペーンやスマートショッピングキャンペーンをはじめとして、入札・ターゲティング・クリエイティブ生成までが自動化されるプロダクトが提供されてきました。そんな中で、2021年にベータ版がローンチされたのが「P-MAXキャンペーン」です。

「P-MAX」は「Performance Max」の略で、意味としては「パフォーマンス最大化」です。
P-MAXキャンペーンでは、1つのキャンペーンでGoogleの全ての広告枠(検索、ショッピング、ディスプレイ、YouTube、Discover、Gmail、マップなど)に広告を配信することが出来ます。これまでもスマートショッピングキャンペーンやファインドキャンペーンのように複数の広告枠に配信できるキャンペーンはありましたが、「1つのキャンペーンのみで全ての広告枠を網羅できる」ことがP-MAXキャンペーンの大きな特徴と言えます。

P-MAXキャンペーンの特徴

1.Google広告すべての掲載面に配信できる

前述したとおり、P-MAXキャンペーンの一番の特徴は、Google広告が持つすべての掲載面に「一つのキャンペーンから」配信できることです。P-MAXキャンペーンは新しい配信面の追加ではなく、既存の全ての配信面への配信になります。従来の広告配信では配信面ごとにキャンペーンを分けていましたが、1つのキャンペーンで全ての広告枠への配信が可能となる事で、これからの広告配信のスタイルは変わっていくのではないかと言われています。

2.機械学習による最適化

P-MAXキャンペーンは、「コンバージョン目標」、「予算」、「アセット」さえ設定すれば、キーワードやオーディエンス設定によるターゲティングを行わなくても、すぐに配信をスタートすることができます。 また、P-MAXキャンペーンでは機械学習によって、設定したコンバージョン目標を達成するよう、ユーザーのシグナルを加味してオークション毎の最適化が行われるため、広告運用者による入札調整は不要です。
今までも機械学習による最適化は行われていましたが、配信面によって複数のキャンペーンに分かれていたので、データ量が十分に確保できないことも多々ありました。さらに、複数のキャンペーン作成や予算等の管理という面で、人手もかかっています。
一方、P-MAXキャンペーンでは一つのキャンペーンで複数の広告枠にまとめて配信できるため、データ量やバリエーションが充実します。データ量が確保出来るため、機械学習も他キャンペーンよりも進みやすいというメリットがあります。

3.P-MAXキャンペーンが向いているシーン

P-MAXキャンペーンの配信が向いているのは、下記2つを満たす場合と言われています。

  • 成果獲得重視のリスティング(検索連動型)広告を配信している
  • Google広告で複数の広告枠に配信している

P-MAXキャンペーンはコンバージョンを軸にしたキャンペーンです。認知拡大ではなく、「成果獲得」を目的とした広告配信を行っている場合に向いています。
Google広告公式のヘルプページに、「P-MAX は、キーワード ベースの検索キャンペーンを補完するもの」という記載があります。成果獲得で配信されるケースの多い「検索連動型広告」で配信していれば、機械学習のデータも蓄積されていて、P-MAXキャンペーンの最適化も進みやすいと考えられます。
また、既に複数の広告枠に配信していれば、既存のアセットを使うことで配信準備の手間も少なくスタートできます。

P-MAXキャンペーンのメリット

1.幅広いユーザーへアプローチできる

P-MAXキャンペーンで配信することで、今までリーチできなかったユーザーにも広告を見てもらえる可能性が高まります。

ユーザーの意図と設定に関する Google のリアルタイムの情報と、オーディエンス シグナルを使用して入力された情報を組み合わせる P-MAX では、予想外の新規顧客セグメントが見つかることがあります。
(引用元:Google広告ヘルプ「P-MAX キャンペーンについて」)

今までキャンペーンを作らず配信されてなかった広告枠にも広告が配信されることで、いままで見つけることのできなかった「コンバージョンに至る可能性の高いユーザー」が発見できるようになります。

2.キャンペーン管理の手間が削減される

これまでは複数の配信面へ広告を配信するにはそれぞれ別のキャンペーンを作成し、予算や入札管理、クリエイティブ、ターゲティングなどの調整が必要になります。運用という面では、配信面を増やせば増やすほど必要な工数が増えていきます。
しかしP-MAXキャンペーンでは、最適な配信面・クリエイティブを予算内で自動的にコントロールしてくれます。運用という面において、管理の手間は大きく減ると言えます。

3.成果につながりやすい

前述した通り、他キャンペーンと比較して機械学習による最適化が進むため、コンバージョン数向上やコンバージョン単価の改善が期待できます。

Google 広告の自動化では、ビジネスを拡大するために機械学習を活用しています。予算やビジネス目標、測定するコンバージョンなど自身の専門知識を追加すると、Google 広告の自動化機能を使って目標に合う見込み顧客を見つけ、最適な広告を最適な入札単価で配信してキャンペーンの掲載結果を最大化することができます。
(引用元:Google広告ヘルプ「P-MAX キャンペーンについて」)

運用者の感覚による調整ではなく、膨大な量の機械学習から導き出されたデータから最適化が進みます。そのため、運用知識が少ない方でも成果につながる広告配信がしやすくなるといえます。

P-MAXキャンペーンのデメリット

1.細かい調整がしにくい

「自動的にコントロールされる」というメリットの裏返しとして、P-MAXキャンペーンは人手による細かい調整がしにくいです。
P-MAXキャンペーンで調整できるのは、大きく「予算」と「アセット」の2つになります。例えば「この配信面への掲載を強めたい」「このキーワードを除外したい」「この形のクリエイティブだけ配信したい」といった調整をすることは出来ません。
基本的には、細かい調整は機械学習に任せて動きを見守ることになります。

2.特定のリストに対して広告配信できない

P-MAXキャンペーンでは特定のリストユーザーに絞った広告配信が出来ません。例えば「自社サイトを訪問したユーザー」「コンバージョンに至らなかったユーザー」などのリストへの配信は非対応となっています。リマーケティング限定で配信、という使い方は出来ません。
「オーディエンスシグナル」という項目でリストを設定すること自体は可能ですが、厳密には「ターゲティング」で配信先を限定出来るわけではありません。あくまで「オーディエンスの候補として参考にする」という意味合いで「このリストにしか配信されない」という訳ではないので注意が必要です。

3.配信結果の確認がしにくい

現状、P-MAXキャンペーンは既存キャンペーンに比べて確認できるレポートデータが少ないです。どのクリエイティブが良かったのか、などという細かな検証が難しくなっています。また、これは自動入札を利用している既存キャンペーンでも同じですが、調整が機械学習によっているため、「なぜそのような配信結果になったのか」という要因の分析の難易度が上がる点も注意が必要です。
ただし、P-MAXキャンペーンはまだ実装されたばかりですので、今後調整可能項目やレポートの項目が増えて行く可能性が高いです。そうなった場合はデメリットが少なくなるため、今後もP-MAXキャンペーンの状況には注意を払っておかなくてはいけませんね。

P-MAXキャンペーンの注意点

1.既存のキャンペーンとの並行配信を推奨

Google広告ヘルプにも記載がありますが、P-MAXキャンペーンは検索広告をはじめ既存キャンペーンを補完し、アカウント全体のコンバージョンを最大化することのできるキャンペーンであると位置付けられています。

通常のキーワード ベースの検索キャンペーンとの併用に最適で、1つのキャンペーンで Google が持つ広告チャネルと広告枠をすべて活用し、自動化によりコンバージョン数と獲得価値を高めることができます。
(引用元:Google広告ヘルプ「Google のさまざまな広告チャネルをフル活用してコンバージョンを促進できる P-MAX キャンペーン」)

そのため、既存で配信しているキャンペーンはそのまま継続し、プラスアルファでP-MAXキャンペーンを並走して配信することが推奨されています。

2.除外キーワード設定ができない

既存のGoogle検索広告キャンペーンと異なり、管理画面上で除外キーワードを設定する事はできません。例えば「商材名・社名を除外する」や「競合他社明名での広告配信を行わない」といった調整が出来ないので、必ず除外しなくてはならないキーワードがある場合は注意が必要です。 ただし、今後は管理画面上で除外キーワードを設定出来る機能の提供が予定されているという情報があります。

終わりに

Google広告は以前から機械学習による広告配信の自動化を進めていて、近年は前述した通りスマートディスプレイキャンペーンやスマートショッピングキャンペーンなど、自動化要素の強いキャンペーンをローンチして来ました。その中でも今回のP-MAXキャンペーンは、従来個別に管理してきた複数の配信面への広告配信をひとまとめに出来て、更に掲載先を含めて配信が自動化されるという点で、これまでの流れからの一つの到達点と言えます。
開始が手軽であり、管理の手間も少なく、配信による成果も一定以上を見込めるという点で、これまで以上に広告出稿のハードルが下がったと言えるでしょう。

細かな調整によってアカウントの最適化を行い、成果を上げる事が広告運用者にとってはメインのサービスです。そう考えると、このP-MAXキャンペーンの実装はある意味で一つの転換点になるかもしれません。現状は既存キャンペーンの補完という要素が強いですが、今後P-MAXキャンペーンのようなキャンペーンがメインになっていくと、機械学習で最適化が可能な要素以外の別の面で運用者の価値を提供していく必要が生まれます。
そうした転換も視野に入れつつ、機械学習の範囲外の部分でどのような価値が提供出来るのか、考えて行かなくてはいけませんね。

それでは、今回はここまで。
今後もMEプロモーションをよろしくお願いいたします。