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3rd Party Cookie規制の影響

2022.08.25

マーケティング

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こんにちは。
2022年4月に日本で個人情報保護法が改正されました。その影響でインターネット上におけるデータ収集や効果測定などに使用されていた3rd Party Cookieが今後、規制されることをご存知でしょうか。
実際、Apple社では2021年に公開されたCMにて「アプリのトラッキングの透明性。どのアプリに追跡を許可するか、しないか。自分で選ぼう。」と公表し、Google社では「2022年までに3rd Party Cookieのサポートを停止する(その後2023年後半まで延期すると発表)」と公表しています。
このような欧米諸国の企業を中心としたプライバシー保護の規制は日々アップデートされています。それにより今後インターネットを活用する事業者は、どのような影響を受けるのでしょうか。今回は3rd Party Cookieの規制の背景やもたらす影響、今後必要になる対応などをお話したいと思います。

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Cookieとは

そもそもCookieとは何か、簡単に説明したいと思います。
CookieとはWebサイトにアクセスしたユーザーの情報を一時的にブラウザに保存する仕組みです。IDを用いてWebサイトを閲覧したユーザーの識別を行い、新規ユーザーかあるいは再訪ユーザーであるかを判断します。例えば、通販サイトで過去に閲覧した商品や、買い物かごに入れた商品が時間を空けてログインした時にも残っていたり、ログイン時に、ID情報の入力が不要になった経験はございませんか?このようにCookieはWebサイトの利便性を向上させるために開発されたものとなっています。その他にも、ユーザーの訪問回数などを把握することができ、アクセス解析や興味関心に基づく訴求ができたりと、マーケティングにおいて活用されている背景があります。

そのようなCookieデータには、大きく分けて2つの種類があります。それが「1st Party Cookie(ファーストパーティーCookie)」「3rd Party Cookie(サードパーティーCookie)」です。これらはCookieがどこから発行されたかによって分けられています。

1st Party Cookie

1st Party Cookieは、訪問しているWebサイトのドメインから直接発行されるCookieのことを指します。先ほどご説明したECサイトのログイン情報やカート情報などの保存は、この1st Party Cookieのデータを用いて行われます。基本的に同じサイト内で利用され、訪問ユーザーに対して精度の高いトラッキングを行いますが、他のサイトを横断してトラッキングすることはできないことが特徴です。

3rd Party Cookie

3rd Party Cookieは、訪問しているWebサイトとは異なるドメインから発行されるCookieのことを指します。主にWebサイト内に設置されたバナー広告に利用されているCookieです。例えば、直前にECサイトで閲覧していた商品が、別のサイトでもバナー広告として表示された経験はないでしょうか。それらの仕組みはこの3rd Party Cookieを活用した広告配信によるものです。1st Party Cookieでは、他のサイトを横断してトラッキングすることはできないですが、3rd Party Cookieでは複数のWebサイトを横断し、ユーザーの行動履歴を収集したうえで、興味関心に合わせた広告を配信することに活用することができます。

このように3rd Party Cookieでは、ユーザーにとっては意図していないところで行動履歴や興味関心のデータを収集し使用されます。そのため、プライバシー保護の観点から規制をした方が良いのではないか、という声が年々強まっています。

各国の個人情報保護に関する規制

個人情報保護の観点から、各国で法律が制定されています。日本では2022年4月から個人情報保護法が改正され、Webサイトで収集する個人情報について、より厳格な運用が求められます。

EU:2018年 EU一般データ保護規則(GDPR)施行
米国カリフォルニア州:2020年 カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)施行
日本:2022年 個人情報保護法 改正

日本で改正された個人情報保護法のポイントは主に以下の6つです。

➀個人情報の開示請求の対象拡大
➁情報漏洩時の事業者責務の追加
③事業者の自主的な取り組みの促進
④データ利活用の促進
⑤ペナルティの強化
⑥外国企業への法の適用

その中で重要なポイントは④のデータ利活用の促進です。これまで、日本ではCookieに関する明確な指針がありませんでしたが、改正個人情報保護法により、Cookieの収集およびCookieに保存された情報の第三者への提供には本人の同意を得ることが必須となりました。
現段階ではCookieは個人情報には値しない「個人関連情報」と定義されていますが、今後ますます規制が広がる可能性があるため、リターゲティング広告などの企業のマーケティング活動にもさらに影響を及ぼすことが予想されます。

3rd Party Cookie規制がもたらす影響

リターゲティング広告への影響

リターゲティング広告では3rd Party Cookieを利用してユーザーの興味関心に合わせた広告を配信しています。しかし、利用が制限されることでユーザーのデータを取得できないため広告配信が困難になることが予測されます。Safariではすでに、3rd Party Cookieがブロックされるようになっており、リターゲティング広告の配信が制限されています。また、Google社でも2023年後半には規制するということも公表しているため、リターゲティング広告に代わる広告の運用や、Cookieを使用しないマーケティング施策を視野に入れる必要があります。

コンバージョン計測への影響

コンバージョンまでに至る流れの中で、一定数のユーザーは何度かWebサイトに訪問してからコンバージョンとなることがあります。しかし、Cookieの使用が規制されると最初の訪問から数日間経ってからのコンバージョンは、Cookie情報がなくなってしまってしまう可能性があります。また、多くのWeb解析のツールでは3rd Party Cookieを使用して数値を測定しているため、3rd Party Cookieが使用できなくなれば、正確な効果測定はできなくなってしまいます。一方、Googleアナリティクスでは1st Party Cookieを使用しているため、アクセス解析は問題ないと言われています。今後は改めて自社が利用しているアクセス解析ツールのトラッキング方法などを確認する必要があります。

今後必要となる対応

3rd Party Cookie依存を軽減する広告手法の導入

3rd Party Cookieの規制により多くの企業で利用しているリターゲティング広告の運用が困難になります。一方、Googleアナリティクスでは1st Party Cookieを利用して、ユーザーのデータを取得しており、そのデータを活用した「Googleアナリティクスリマーケティング」という手法があります。今後はそのような規制の影響を受けないデータの収集によるマーケティング施策の導入や広告クリエイティブの質を向上させるような対応が必要になると予測されます。

同意管理ツールの導入

一部のケースでは、Webサイトの訪問者に対してCookie取得の同意を求める環境が必要となります。同意管理ツールは、それに対応をするためにWebサイトの運営者がユーザーに対してCookieから取得したデータの活用法を明記しながら、Cookie取得の同意を求めるツールです。Webサイトを訪問したユーザーに対して、ポップアップバナーなどの形で表示させ、ボタンやチェックボックスのクリックといった操作を伴う方法で同意を求めます。同意管理ツールの導入によって、各国の規制や日本の改正個人情報保護法に即座に対応できるようになるほか、同意記録の管理や同意状況の外部システムとの連携も容易になります。
全てのWebサイトにおいて事前に同意の取得が必要というわけではないため、自社サイトの状況やCookieの利用方法を踏まえて判断をすることが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
2023年にはGoogle社でのCookieの利用規制が控えており、3rd Party Cookieが完全に利用できない時代になることが予測されます。Web広告事業に関わる方はそのような時代に対応するためのマーケティング戦略を練り直す必要があります。弊社でもそうした情勢に対応するため、常に情報収集を行いつつ、クライアント様の売上に貢献できるよう精進してまいります。
それでは、今回はここまで。
今後もMEプロモーションをよろしくお願いいたします。