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永原の読書
ハムレット

2020.11.19

日常
読書

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こんにちは、
クリエイティブ制作部の永原です。

かなり久しぶりなタイトルになってしまいましたが、
今回のブログ記事は永原の読書です。
確認を込めて振り返りをしたら前回は12月の更新だったので、
約一年ぶりになります。
危うく初回が最終回になるところでした…

そして今回取り上げる本は『ハムレット』です。

シェイクスピア 『ハムレット』

『ハムレット』はシェイクスピアによって書かれた劇脚本です。
今でこそ文庫本で買えますが、中身は脚本のようにキャラクター名と
セリフが続いて書かれています。
私ははじめこの書かれ方に馴染みがなく、読み進めるのに苦労したのを覚えています。

そして、シェイクスピアといえば『ハムレット』をはじめとした
4大悲劇(ハムレット、オセロー、リア王、マクベス)が大変有名かと思います。
また、「おおロミオ、なぜあなたはロミオなの」のセリフで有名な
『ロミオとジュリエット』も彼の作品です。

今回も以下からネタバレが含まれているので、苦手な方は申し訳ございません…

まず、あらすじの紹介です。

【あらすじ】
デンマーク王子であるハムレットは前王の亡霊に、
実の弟である現デンマーク王に殺害されたと伝えられる。
その話を聞いたハムレットは狂人を演じながら、
復讐の機会を探っていく。

またとんでもないものを選んだな、と自分でも思っています…
ただ、この本は私の中でシェイクスピアを読み始めた「始まりの本」なので、
紹介したいなと思い選びました。
特に、上記で紹介した『リア王』以外は中学生の時に読みあさっていました。

と言っても読み始めた理由は全く高尚なものではなく、
中学生だった当時、激はまりしていた漫画のキャラクターが
よく『ハムレット』の言葉を引用していたからです。
おかげで当時、漫画の引用元である岩波文庫の野島秀勝さん翻訳の文庫本が欲しくて、
駆けずり回ったのは良い思い出です。
(新品を買う気はなかったので中古を探し回った結果、秋葉原のブックオフにありました)

あらすじの通り内容は主人公の復讐劇です。
そして、最終的に主人公ハムレット本人も
叔父である王との戦いの中で剣に塗ってあった毒で死にます。
その戦いの模様を含め、かなり衝撃的な終わりを迎えるのが本作の特徴かと思っています。
ハムレット自身がどのように復讐までの道のりを歩み、終わりを迎えるのか、
気になる方は是非実際に読んでみてください。

登場人物

次に『ハムレット』に登場する主要人物を紹介したいなと思います。

・ハムレット
作品の主人公。前デンマーク王子の息子で王子です。
母であるガートルードの早い再婚に絶望していたところに、
前王の亡霊の話を聞き復讐を心に決めます。
美青年で賢いハムレットは友人も多く慕われていたという描写もあります。

・クローディアス
現デンマーク王でハムレットの叔父にあたります。
前王である兄の妻ガートルードと結婚し、ハムレットに恨まれるようになります。
ハムレットの狂人ぶりに手を焼き、裏で画策するずる賢さを持ち合わせています。

・オフィーリア
国務大臣の娘であり、ハムレットの恋人。
狂人を演じるハムレットに罵倒され心を痛めます。

・レアティーズ
オフィーリアの兄であり、ハムレットの友人です。
後にハムレットを恨み、クローディアスの画策により
ハムレットと剣による対決をすることになります。

・ホレイショー
ハムレットの友人であり、前王の亡霊が出た時もハムレットとともにいて、
物語の始まりと結末を知る人物です。

『ハムレット』の名言

文庫本一冊の物語の詳細を話すのはかなり長くなってしまうので、
今回は『ハムレット』の名言をいくつか取り上げていこうかと思います。
名言というよりは「個人的に好きなセリフ紹介」といった方が近いかもしれませんが…

ちなみに、私はある漫画に触発されて読んだということもあり、
ピックアップする名言もその漫画に出てきたものが登場します。
何の漫画かわかりましたら是非仲良くしてくさい。

以降、引用する言葉は全て岩波文庫の野島秀勝さん訳によるものです。

ホレイショー、この天地のあいだには、人間の学問などの夢にも思いおよばぬことが、いくらでもあるのだ。

弟であるクローディアスに殺害されたという話を
前王の亡霊から受けた後のハムレットのセリフです。
亡霊と対峙している間、ハムレットとともに
その場にいたホレイショーにむけた一言になります。

このセリフは永原の中でもトップを争うほど好きな一言です。
亡霊というオカルト的な存在を目の当たりにしてこの言葉を発せるほど、
自分を俯瞰的に見ることができるのか。
少し見方は変わりますが、自分自身の知っていることなどほんのわずかで、
何事も過信してはいけないのだなあと思い知らされます。

このように、どうしても『ハムレット』のような古典を読むと
教訓じみて読んでしまいます…
しかし、小説として読むと誰かに押し付けられるような感覚がないので、
スッと入ってくる感じが嫌ではなく読み進めてしまうのかなと思います。

世の中の関節は外れてしまった。ああ、なんと呪われた因果か、それを直すために生まれついたとは!

父である前王の復讐を決め、動き出す際にハムレットが言ったセリフ。
ハムレットの復讐の始まりにあたるセリフでもあるため、
有名な一言なのではないかなと思います。

関節という単語を用いる独特さはもちろん、
自分に課せられた運命と生まれてきたことを嘆きつつも
決して絶望感が全面に出ているわけではないという複雑さがとても好きなセリフです。
注釈には太宰治の「生まれてきてすみません」とは違う、という
解説があり文章の面白さを感じます。
ここでいう関節とはなんなのか、
様々な考察ができるところも含め気に入っていて、
一時期暗唱できるくらいには覚えていました。
ぜひこの箇所についていろんな方の意見を伺ってみたいです。

生きるか、死ぬか、それが問題だ。

おそらく『ハムレット』上で一番有名なセリフ。
このセリフの原文「To be, or not to be」は日本語に訳す際に、
翻訳者によって訳が変わってきます。
人によって「するべきか、しないべきか」や「いいのか、いけないのか」など様々で、
いかに日本語訳のしにくい一文かということがわかるかなと思います。

このセリフの後も長く続くのですが、要約すると
「死の眠りについてもどんな夢が現れるかわからない、
だからこそ人はこの悲惨な人生に耐える。
未知の世界に行くよりも、いっそ慣れたこの世の煩いに耐える方がましだと考えるだろう」のように独白します。
だからこそハムレットは世の中を憂いても、自殺ではなく復讐を選んだのだと思います。
彼の死生観とともに強い覚悟がこの一文から見えるところが、
名言たる所以なのかなと思っています。
ぜひ、普段の生活の中でも何か覚悟を決めた際には、
このセリフを呟いてみると良いかもしれません。
教養人ぽく見えるかもしれません。(保証はしません)

来るべきものは、今来れば、あとには来ない。あとで来ないなら、いま来る。いま来なければ、いつか来る。覚悟がすべてだ。

ハムレットがクローディアスと対峙する直前のセリフです。
正式にはハムレットとレアティーズが剣の試合をするために、
観客としてクローディアスやガートルードも揃っています。
その場でハムレットは復讐を果たす覚悟を決めた、というような一文になります。

セリフの内容自体は三段活用で特段複雑なことを言っているわけではないのですが、
すごく身にしみる一言だなあと読むたびに思います。
どうも怠け癖がついてしまって、やりたくないことを後回しにしがちですが、
「今やらなければいつか来る」は耳に痛いです。
もちろん、作中とは覚悟の度合いが全く違うのですが、
実際に生活をしている中でも十分に実感できる言葉だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
『ハムレット』の名言をいくつかピックアップしてみました。
今回は悲劇らしくハムレットの復讐にまみれたセリフのみを出しましたが、
他にもハムレットがオフィーリアに宛てた手紙の内容や
オフィーリアに向ける愛情の度合いを示すセリフなど、
『ハムレット』には恋愛物語としての一面もあります。
そのあたりのセリフもとても素敵なので、ぜひ一度読んでみて欲しいなと思います。

今回はこの辺りで。
読んでいただきありがとうございました。